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【しっかり管理!】減速機の潤滑油が重要な理由と交換時のポイントについて

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機械設備において減速機の存在は欠かせません。

減速機とは入力軸に繋がっているモータの回転を複数の歯車を使って減速し、出力軸から取り出すための装置です。ただモータからの回転数を落とすためだけではなく、減速比に応じたトルクを得ることが出来ます。

その減速機の維持に欠かせないのが「潤滑油」の存在。

今回は潤滑油は減速機にとってなぜ欠かせないのか?適正に潤滑油を管理しないとどのような影響があるのか?お伝えしていければと思います。

なべ
なべ

減速機にとって潤滑油は我々で言う「血液」のようなものです。点検をしっかり行って適正に管理していきましょう!

潤滑油の役割

減速機にとって潤滑油は以下のような役割があります。

歯車の保護

減速機の中には沢山の歯車が入っており、その歯車が噛み合うことでモータからの回転を減速しているのですが、この歯車同士が直接当たってしまうと摩耗や損傷の原因になってしまいます。

潤滑油はこの歯車の表面に薄い油膜を形成することで、金属同士が直接接触するのを防いでいます。適正な潤滑油を使用することで摩耗を最小限に抑え、焼き付きなどの損傷を最小限に抑えることが出来ます。

摩擦の低減

金属の歯車同士が直接噛み合うと摩擦が発生し損失が生まれます。この損失により歯車の伝達効率が悪くなり、機械がスムーズに動くことが出来なくなります。

適正な潤滑油を使用することで歯車同士の摩擦損失を抑え、スムーズな動作と摩擦による熱の発生を防ぐ効果があるのです。

錆の防止

鉄は空気中に含まれる酸素や水分と結合することよって錆が発生します。それは減速機の中の歯車も同じです。

潤滑油によって歯車の表面に油膜が形成されることで、酸素や水分に反応して錆が発生することを防止しています。

このように錆などの腐食から歯車を守るのも潤滑油の大切な役割です。

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潤滑油を交換するときの注意点

減速機の潤滑油を交換するときの注意点及びポイントについて解説します。

適正な潤滑油を準備する

潤滑油を交換する計画を立てる際は、まず交換対象の減速機の取扱説明書を確認し、指定の銘柄・粘度の潤滑油を選ぶようにしましょう。

よく使われる一般的な粘度の潤滑油は#150もしくは#220が多い印象ですね。

油量の確認方法を調べておく

油量の確認方法は減速機に付いている油面計(オイルゲージ)によって異なります。

引用先:株式会社 協和(丸型打込式オイルゲージ)

このタイプは油面が真ん中の赤い丸に掛かっていれば適正な油量ということになります。

引用先:株式会社 協和(樹脂製長形オイルゲージ)

このタイプは真ん中の赤いバーのところまで油面が上がってきていれば適正な油量になります。

他にも減速機によって様々な油面の見方があります。また、設備によっては油面が見れない構造のものも存在します。事前にしっかり確認しておくようにしましょう。

また、設備によってはホコリ等で汚れて油面計が見にくいケースもあります。油量を誤認しないよう油面計の汚れを落としておくことも重要です。

適正な油量を確認する

減速機の油量確認は油面計が付いていれば油面計で行えますが、油面計がない場合もあります。また、油面計が付いていたとしても事前に油量の確認を取扱説明書等で確認しておくことも重要です。

どれぐらいの油を準備しておけば良いのか、予め調べておくことで油が足らないという事態を防ぐこともできます。

事前に油量が確認できない場合は、減速機から抜き取った時に出てきた油の量を計測し、保全記録として残しておくようにしましょう。

油面計を整備する

油面計は長年使っているとホコリなどの外部要因の汚れだけでなく、潤滑油の汚れによる内部要因での影響で見にくくなってくる場合があります。

潤滑油交換時にもし可能であれば、油面計の清掃(外側及び内側)や交換も同時に行って下さい。油面計を綺麗に保つことによって適正な油量を間違えずに確認することができます。

補給した油量を確認する

潤滑油の補給量は多すぎても少なすぎてもいけません、必ず適正な油量範囲で補給するようにして下さい。

油が少なすぎると・・・

歯車の摩耗や焼き付き等の損傷の原因になります。

油が多すぎると・・・

油の温度が上昇することで酸化しやすくなるので、油の劣化が進みます。

抜き取った潤滑油の状態を確認する

抜き取った潤滑油に含まれる鉄粉濃度を測定することによって、減速機内部の摩耗の具合を簡易に診断することができます。

引用先:新コスモス電機株式会社(潤滑油鉄粉濃度チェッカー)

チェッカー本体の価格がかなり高いので気軽におすすめすることは難しいですが、レンタルのサービスもありますので気になる方はチェックしてみて下さい。

リンク:MonotaRO 【レンタル】SDM-73

まとめ

以上、減速機の潤滑油が重要な理由と交換するときの注意点及びポイントについて解説いたしました。

特に減速機の油量不足はトラブルの原因となり得ますし、設備の安定した機能維持に大きな影響を与えることになります。

各減速機の適正な油量をきちんと把握し、潤滑油の交換時は適正な油量の補給を徹底するようにしましょう。

ABOUT ME
なべ
なべ
エンジニア
設備保全一筋20年の保全マン。
専門は電気であるが、機械関係の仕事にも携わっている。
6年前から営業職兼務になり、営業から設計・製作・工事・回収までを1人でこなすハードな毎日を送っている。
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