【オープンギヤオイルとは?】役割や使い方について解説

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機械関係で使用される潤滑油やグリスには様々な種類があります。

その中の1つに「オープンギヤオイル(もしくはグリス)」という商品があります。

代表的なものは出光興産から販売されている「ダフニーホワイトオープンギヤオイル」ではないでしょうか。

引用先:アポロ興産株式会社(メンテナンス用油脂類)

他にも、住鉱潤滑剤から販売されているオープンギヤ用の「モリギヤ1500スプレー」というものもあります。

これらスプレータイプのオープンギヤオイルはとても使い勝手が良く、僕自身いろいろな場面で使わせてもらっています。

この記事では、このようなオープンギヤオイルについて役割や使い方について解説していきます。

なべ
なべ

オープンギヤオイルはとても便利な潤滑油ですが注意点もあります。特性を理解して上手に活用しましょう。

オープンギヤとは?

オープンギヤとは開放歯車とも言われ、回転する歯車がむき出しの状態になっているものを言います。

このような感じで、回転する力を歯車で伝えている機構が開放(オープン)状態になっています。

この状態だと通常は人が巻き込まれたりして危険なため、カバーなどで覆うことによって人の手が入らないような安全処置が施されています。

オープンギヤ構造の設備はクレーンなどの荷役機械にもたくさん使われています。

例えば、減速機などのギヤケースから出力された回転力をワイヤーロープ巻き取り用のドラムを回転させる使い方だったり、

車輪の軸に取り付けられた大きな歯車を駆動歯車で回転させたりです。

このような歯車の潤滑用に使われるのがオープンギヤオイルです。

オープンギヤオイルの特徴

オープンギヤオイルには「粘着性が高い」という特徴があります。

普通の潤滑油は塗ってしばらくおいておくと重力に負けて垂れてきたりします。オイルよりも粘度の高いグリスであっても、夏のような気温の高い環境になると溶けて液状化し、オイルのように垂れてくることがあります。

オープンギヤオイルは松ヤニのような粘り気があるのが最大の特徴で、ギヤなどの金属面に対して付着力に優れる高い粘着性をもっています。

冒頭ではスプレータイプのオープンギヤオイルをご紹介していますが、同様の特性を持ったグリスタイプも存在します。

なぜオープンギヤオイルを使うのか?

オープンギヤ(開放歯車)の潤滑用になぜ専用の潤滑油を使うのでしょうか?

次のような理由があります。

普通の潤滑油では表面に残りにくい

減速機などのケースに収納されている歯車はケースの中でオイルに浸かっていたり、グリスが充填されていたりする為、常に歯車の潤滑に必要な油分が付着し続ける環境にあります。

オープンギヤの場合、周囲にオイルやグリスの溜まるところが無いため、普通の潤滑油では遠心力で飛び散って無くなってしまいます。潤滑油が表面に無い歯車同士が噛み合うと、金属同士が直接触れてしまうということになるので、歯が痛んだり摩耗したりする原因にもなります。

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オープンギヤオイルはその高い粘着性によって歯車にくっつくので、回転によって歯の表面から飛び散りにくいというメリットがあります。

飛散した潤滑油で周囲を汚さないように

オープンギヤはモーターの回転を直接伝達することも多く、その場合は高速で回転します。巻き込まれないようカバー等が付いているとは言え、普通の潤滑油を塗布すると回転中に飛散して周囲が油だらけになります。

工場の工作機械で製品を汚してしまうと売りものになりませんし、リフトなどのレジャー施設でそのようなことが起きると利用者から苦情がきてしまいます。

オープンギヤオイルは歯車が高速回転していても飛散しにくいので、周囲への影響を最小限に抑えるという役割も担っています。

オープンギヤ以外での使い方

オープンギヤオイルは「オープンギヤ」という名前ではありますが、歯車以外にも特性を生かした様々な用途があります。

ワイヤーロープに使用する

オープンギヤオイルはワイヤーロープにも使用することができます。

一般的にクレーン等で使用するワイヤーロープは、むき出しの状態になっていることがほとんどであるため、表面に塗ったグリス等が垂れてきたり固まりが落ちてきたりすることがあります。

製品の真上にワイヤーロープが通っていたりする場合、落ちてきたグリスが付着して製品として台無しといったことも。

実際、僕が保全している設備にもそのような不具合が発生したことがあります。

オープンギヤオイルはワイヤーロープにも持ち前の粘着力で良くくっつくので、垂れて製品を汚すといったトラブルが発生しにくくなります。

ただし、ガントリークレーンや大型の天井クレーンのようにワイヤーロープが非常に長い場合は、専用のロープ油を使う方がいいかと思います。

引用先:丸三機械商事株式会社(ワイヤーロープグリス ワイロール R-HS 16㎏)

ワイヤーロープの最大手である東京製綱から発売されている「ワイロール R-HS」です。オープンギヤオイルほどでは有りませんが、適度な粘着性があり比較的塗りやすいロープ油です。僕の職場ではこれを洗車用のブラシを使って塗布しています。

チェーンに使用する

チェーンにもオープンギヤオイルは使用可能です。

工場の機械設備はチェーンで動力を伝達する機構であったり、チェーンを使って荷物を搬送するチェーンコンベアなど、実に様々なシーンでチェーンが使われています。

引用先:株式会社 共和工業所(チェーンコンベア製造事例)

工作機械で使われるチェーンは製品と非常に近い位置にあることも多いため、オープンギヤオイルを使うことで油の飛散や垂れを抑えることができます。

僕の顧客の中には、チェーンの給油は必ずオープンギヤオイルを使うよう依頼される方も存在します。

オープンギヤオイルは塗った箇所に良く付着するので、形成された油膜が長期間残ってくれるのも大きなメリットです。

チェーンには「チェーンルブ」といった専用の潤滑油もありますので、状況に応じて使い分けてください。

オープンギヤオイルの注意点

オープンギヤオイルにはいくつか注意点があります。

滑りを良くする用途には使えない

オープンギヤオイルは高い粘着性を持っているため、滑りを良くするための用途には向きません。逆にそのような箇所に塗ってしまうと粘着性が負荷になって、滑りがとても悪くなります。

オープンギヤオイルはあくまで「金属同士の接触」や「錆の発生」を抑えるための油膜形成が目的の潤滑油です。

塗った直後は飛散する

オープンギヤオイルはスプレーで塗布した直後はまだ粘り気が少なく、その状態でギヤを高速回転させると飛散することがあります。

また、塗布する量が多くても飛散しやすくなる原因になります。

適正な量を塗布し、塗布した後は出来ればしばらく時間をおいてから設備を稼働させるようにしてください。

清掃が面倒

オープンギヤオイルは高い粘着性があるため、目的の箇所以外に付着してしまうと清掃が少し面倒です。溶けた飴を乾いたティッシュで拭き取るような感覚ですね。

過去に、使い終わって穴を明けたスプレー缶を車の荷台に放置していたことがあって、気づいたら中身が漏れ出して周辺がベタベタになってしまっていた経験があります。

正直清掃はかなり大変でした。

パーツクリーナーを付けて清掃すれば落とせなくはないですが、普通の潤滑油と比べると除去するのには労力が必要になります。

熱を加えないと使えないものもある

グリスタイプの中には粘度が非常に高く、熱を加えて柔らかくしないと塗布できない種類のものが存在します。

大きなクレーンのオープンギヤでそのようなグリスを使う場合があります。

この手のグリスは潤滑性能は非常に高いですが、金属の容器に入れて火で熱を加えたり、熱いうちに塗布する必要があったりと、使い勝手はとても悪いです。また、作業着などに付着すると洗濯して綺麗に落とすことはほぼ不可能です。

取り扱う機会がもしありましたら十分注意してください。

まとめ

以上、オープンギヤオイルの役割や使い方等について解説しました。

オープンギヤオイルは飛散しにくいという特徴から、様々なシーンで活用ができるとても便利な潤滑油です。

次のようなことに悩んでいる方は是非検討してみてください。

  • 飛散した油が製品に付着して困っている
  • 塗布した潤滑油が直ぐ無くなるので頻繁に給油している
  • 屋外で使える潤滑油を探している

1本持っておいても損はないかと思います。

ABOUT ME
なべ
なべ
エンジニア
設備保全一筋20年の保全マン。
専門は電気であるが、機械関係の仕事にも携わっている。
6年前から営業職兼務になり、営業から設計・製作・工事・回収までを1人でこなすハードな毎日を送っている。
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