【クロスバー接点って何?】リレーの接点の種類とその特徴について解説
制御盤の中に必ずと言っていいほど使われているミニチュアリレー。
ミニチュアリレーにはコイル電圧の違いや接点の数など、実に様々な種類がラインナップされています。
その中で少し分かりにくいのが接点の項目にある「シングル」・「ツイン」「クロスバー」という接点自体の形状の違い。
この記事では、この3種類の接点形状の違いについてメリット・デメリットを交えて解説します。
リレーには接点形状によってメリット・デメリットがあるので、ケースバイケースで使い分けましょう。
そもそもリレーとは?
リレー(Relay)とは日本語で「伝達する」・「引き継ぐ」といった意味を持つ単語で、まさに電気信号を伝達する(リレーする)という役割を持った電気機器です。
引用先:株式会社ミツバサンコーワ(リレーの構造と動作原理)
リレーの内部は上の図のようになっており、次の部品で構成されています。
- 可動接点及び可動鉄心
- 固定接点
- コイル及び鉄芯
- 復帰バネ
端子Aと端子Bに電圧を加えるとコイルに電流が流れて鉄芯が電磁石となり、可動鉄片が磁力の力で引き寄せられます。可動鉄片が引き寄せられると可動接点が固定接点にくっついて、端子Cと端子D間に電流が流れるようになります。
端子Aと端子Bに加えていた電圧を切ると、鉄芯に磁力の力が無くなってしまうので、鉄芯に引き寄せられていた可動鉄片が復帰バネで引っ張られて元に戻ります。可動鉄片が元に戻ると可動接点と固定接点が切り離されるので、端子Cと端子D間に電流は流れなくなります。
これがリレーの一連の動作です。
端子Aと端子Bには小さな電気を、端子Cと端子Dの接点にはそれよりも大きな電気を流すのが一般的です。
つまり、小さな電気で大きな電気の入り切りをするために使う、それがリレーの役割となります。
それぞれの接点の特徴
冒頭でもお話しましたが、リレーの接点には形状の違いから主に次の3種類があります。
シングル接点
シングル接点は円筒状の接点(もしくは直方体状)が可動・固定とも1つずつ取り付けられており、この接点同士が接触することで電流を開閉する、もっともオーソドックスな接点形状です。
1つの接点同士で面接触するため比較的大きな電流でも開閉できるほか、機械的・電気的な耐久性も高いのも特徴の1つです。
制御用途から電磁弁のソレノイド開閉など、実に幅広く使える万能な接点がシングル接点です。
ただ、微少負荷開閉の接点に発生しやすい酸化皮膜形成による接触不良が起きやすいというデメリットも存在します。シングル接点でも微少負荷開閉の使用は可能ですが、定期的にリレーを交換するか、微少負荷開閉に適した接点形状のものを使う方が良いでしょう。
- 制御用途から駆動用途まで幅広く使える万能型
- 最もオーソドックスな接点形状なので入手しやすい
- 電気的・機械的な耐久性が最も高い
- 微少負荷開閉用途では接触不良を起こしやすい
ツイン接点
ツイン接点はその名の通り可動接点が2つ(ツイン)になっている接点形状のものを指します。
接点が2つあるということは、単純に接触信頼性が2倍ということになるので、シングル接点よりも微少負荷開閉の用途に向いていると言えます。
また、開閉出来る電圧・電流についてはシングル接点と変わらない為、微少負荷開閉以外の用途でも使うことができます。
その反面、シングル接点よりも機械的・電気的寿命が短い(シングル接点と比べて半分以下の開閉回数)こと、価格が高いことなどのデメリットがある為、選定時はこの点に注意しましょう。
- 微少負荷開閉に適している
- シングル接点と同等の電圧及び電流を開閉することが可能
- シングル接点よりも機械的・電気的寿命が短い
- シングル接点より価格が高い(10%〜25%程度)
クロスバー接点
引用先:松尾電機産業<クロスバー接点(微少容量接点)について>
クロスバー接点はちょっと特殊な形をしていて、図のように棒状の接点同士が交差(クロス)して接触する接点形状になっています。
棒状(バー)の接点が交差(クロス)しているのでクロスバー接点というわけですね。
クロスバー接点の最大のメリットは微少負荷開閉の接触信頼性が最も高いという点です。
なぜ接触信頼性が高いかというと、クロスバー接点は接点同士が点と点で接触する「点接触」だからです。
シングル接点の場合は接点同士が面と面で接触する面接触である為、単位面積当たりの押しつけ力が弱くなります。
一方、クロスバー接点の場合は接触している部分が「点」なので、単位面積当たりの押しつけ力が強くなります。
手のひらで顔のほっぺたを押した場合と指の先でほっぺたを押した場合では、指の先でほっぺたを押した方が先端に力が集中して痛いですよね。
それと同じで、「点」で接触させることによって接点の接触部分がより強く押しつけられるので、より信頼性の高い導通を得ることが可能となります。
ただし、クロスバー接点は接点同士が接触している面積が小さいことから、流せる電流値がシングル接点やツイン接点よりも少なくなります。
クロスバー接点のリレーを採用するときは、デメリットにも注意して使用してください。
- 微少負荷開閉に最も適している
- 開閉できる最大電流及び最大電圧の値が低い
- 機械的及び電気的寿命が最も短い
- シングル及びツイン接点のリレーよりも価格が高い
まとめ
以上、ミニチュアリレーの接点形状について、違いやその特徴を解説しました。
ミニチュアリレーの接点には形状に応じたメリット・デメリットが存在し、特性を理解して適切に使用することがとても重要です。
シングル接点で発生していた慢性的なトラブルもクロスバー接点に変えることで解消するといったケースも有りますので、それぞれのシーンに応じた使い分けを心掛けるようにして下さい。