【ビリビリガードとは?】その特徴と使い方について解説
現場作業において電動工具や照明器具などを使用する際には、これらの機器の電源としてAC100Vのコンセントを使用します。
機器が新品のうちは使っていて特に問題が起きることはありませんが、長期間使用していると外装の破損や劣化によって段々と絶縁が低下し、「漏電」が引き起こされる可能性があります。
「漏電」とは、電気機器や配線の絶縁が劣化したり破損したりすることで、本来電流が流れるべきではない部分に電流が流れてしまう現象のことを言います。この本来流れるべきでない電流が人体に流れてしまうことによって、重篤な健康被害を引き起こす恐れがあります。
このようなリスクを防ぐために有効なのが、「ビリビリガード」と呼ばれるプラグ形漏電遮断器です。ビリビリガードを使用することで、漏電によって起こる事故の発生リスクを最小限に抑えることができます。
この記事では、そんなビリビリガードの特徴と使い方について詳しく解説していきます。是非参考にしてみてください。
現場の安全確保のためにも、ビリビリガードを積極的に使っていきましょう!
ビリビリガードを作っているメーカー
ビリビリガードは「テンパール工業株式会社」という広島に本社を構えるメーカーが作っている製品です。
テンパール工業はノーヒューズブレーカや漏電遮断器などの配線用遮断器類、それらを納める分電盤や高圧受電盤(キュービクル)などを主に手がけているメーカーで、電気を使う私達の生活をより安全で快適なものにすることを企業理念として掲げています。
そんなテンパール工業のノウハウと想いが詰め込まれている製品、それがビリビリガードという製品です。
テンパール工業は創業73年の老舗メーカーだよ。
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ビリビリガードの種類について
テンパール工業のビリビリガードはいくつか種類があります。
GR-XB(コンセントタイプ)
引用先:MonotaRO【ビリビリガード(地絡保護専用)】
GR-XBシリーズは2Pコンセントに差し込んで使用する最もベーシックな機種になります。
GR−XBシリーズの特徴は次の3点です。
- コンセントプラグ部分に接地極が無い
- 地絡保護専用である
- 価格が安価
プラグ部分に接地極がないため、人が触れる可能性のある金属部分に電気が帯びてしまっている場合は感電を防ぐことが出来ません。しかし機能が抑えられている分、軽量コンパクトで安価なのがメリットです。
GR-XBのスペックは次の通り
定格電圧 | AC100V |
定格電流 | 15A |
動作時間 | 0.1秒以内 |
定格感度電流 | 15mA |
コンセント口数 | 2口(合計1,500W) |
使用温度範囲 | -10℃〜40℃ |
使用条件 | 屋内 |
重量 | 110g |
GR-XBシリーズはカラー展開が豊富で、銘板の色をグレー・ピンク・ブルーの3色から選ぶことができます。
GR-XBは家電製品などの一般家庭での使用にピッタリだね
GT-XC(コンセントタイプ)
引用先:MonotaRO【ビリビリガードプラス(地絡保護専用)】
GT-XCシリーズも同じくコンセントに差し込んで使用するタイプですが、プラグ部分に接地極が追加されているのがGR-XBシリーズと異なる点です。
プラグ部分に接地極があるタイプは、”プラス”の名を冠して「ビリビリガードプラス」という商品名になります。
この機種を壁側の3Pコンセントに接続することで、機器側プラグも3Pであれば接地され、感電による災害リスクを低減することができます。
GT-XCシリーズの特徴をまとめると
- コンセントプラグ部分に接地極がある
- 地絡保護専用である
- 2P・3Pどちらのコンセントでも使用可能
プラグ部分の接地極を収納することができるため、2Pコンセントに取り付けることも可能です。ただし、その場合は機器側の接地がGT-XCを介して行うことができませんので、別途接地線を取り付ける必要があります。
GT-XCのスペックは次の通りです。
定格電圧 | AC100V |
定格電流 | 15A |
動作時間 | 0.1秒以内 |
定格感度電流 | 15mA |
コンセント口数 | 2口(合計1,500W) |
使用温度範囲 | -10℃〜40℃ |
使用条件 | 屋内 |
重量 | 170g |
GR-XBと比べて重量が60g重くなったこと以外、スペック上の大きな違いはありません。
GB-XC(コンセントタイプ)
引用先:MonotaRO【ビリビリガードプラス(地絡・過負荷・短絡保護)】
GB-XCシリーズもこれまでのシリーズと同様コンセントに差し込んで使用するタイプで、プラグ部分には接地極が備わっています。
なので、この機種についても商品名は「ビリビリガードプラス」です。
一見するとGT-XCシリーズと同じ形に見えますが、GB-XCシリーズは地絡保護に加えて過負荷保護と短絡保護の機能を備えた上位モデルになります
GB-XCシリーズの特徴をまとめると
- コンセントプラグ部分に接地極がある
- 地絡保護に加えて過負荷保護・短絡保護を備えている
- 2P・3Pどちらのコンセントでも使用可能
- 用途に合わせて感度電流を2種類から選べる
GB-XCシリーズはコンセントに接地極があることや様々な保護機能を備えていることから、一般家庭だけでなく現場作業でも使用できる万能な機種です。
少し価格は高くなりますが、現場で電動工具を多く使用する作業においては、GB-XCシリーズが最も適していると言えるでしょう。
GB-XCシリーズのスペックは保護機能以外GT-XCシリーズと全く同じですが、感度電流の違いによって2種類のラインナップがあります。
GB-XCシリーズ 型式 | GBXC1515 | GBXC1506 |
定格電圧 | AC100V | AC100V |
定格電流 | 15A | 15A |
動作時間 | 0.1秒以内 | 0.1秒以内 |
定格感度電流 | 15mA | 6mA |
コンセント口数 | 2口(合計1,500W) | 2口(合計1,500W) |
使用温度範囲 | -10℃〜40℃ | -10℃〜40℃ |
使用条件 | 屋内 | 屋内 |
重量 | 170g | 170g |
ビリビリガードは他にも色んな種類があるよ!
ご自分の用途に合わせて最適な機種を選んでみてね。
ビリビリガードのレビュー
それでは実際のビリビリガードをレビューしてみます。
今回レビューするのは、ビリビリガードプラス GB-XCシリーズの定格感度電流15mAタイプです。
パッケージ
ビリビリガードはこのようなパッケージに入っています。
パッケージの裏側には詳しい名称説明・機能説明や仕様の記載が有り、この厚紙を開くと詳細な取扱説明が書かれています。
使用時に困ることは無さそうですね。
無くしにくいパッケージの厚紙が取扱説明書になっているのはいいね
外観(正面)
パッケージから取り出します。
外装はプラスチック製なので軽く、現場でも持ち運びはしやすそうです。
正面にはシリーズ型式と保護機能の種類、感度電流がハッキリと記載されています。
これなら、別のシリーズとごっちゃになっても仕様の見分けが付きやすそうですね。
正面から見て左側にあるボタンは、コンセントプラグ部分の接地極を収納するときに押します。ボタンを押して接地極を引っ込めると、右側にある小窓の表示が緑色から白色に切り替わります。
正面中央には四角いリセット(入)ボタンと、丸いテスト(切)ボタンがあります。
コンセントに本体を差し込んだ状態でテスト(切)ボタンを押すと、正常に動作すれば本体の電源が切れます。ビリビリガードが動作した場合は、動作した原因を取り除いてリセット(入)ボタンを押すことで復旧し、通電状態になります。
本体下側の正面には機器側の3Pプラグを差し込むための3Pコンセントが1箇所あり、
本体の底面にはもう1箇所3Pコンセントがあります。この2つのコンセントの合計で、最大1,500Wまで使用することができます。
外観(裏側)
本体の裏側はこのようになっています。
コンセントに差すプラグ部分は2P+接地極付きの3Pプラグになっています。
ボタンを押すと接地極を収納することができ、2Pコンセントでも使用することができます。
本体下部には圧着端子専用のアース端子があります。そのため、使用する機器が2Pプラグでも、アース線が付いているものであれば、ここに接続して機器を接地することができます
3Pプラグとアース線付きプラグの両対応です。
ビリビリガードの使い方
それではビリビリガードを使ってみましょう。
まずは本体を壁コンセントに取り付けます。
今回は一般家庭用の壁コンセントに接続しますので、接地極収納用のボタンを押しながらコンセントに差し込みます。
このように、ボタンを押すと接地極を引っ込めることができます。
なので、一般的な2Pのコンセントに対しても
このように簡単に取り付けることができます。
ビリビリガードには下の方に突起物が付いているので、本体が浮くような状態にはならず非常に安定しています。
コンセントの上側に接続する場合でも、別途付属している取付補助具を使用することで安定した状態で取り付けることができます。
2Pコンセントに接続した場合は右側の小窓が緑色から白色に変わります。
一方、今の状態はビリビリガードが切れている状態なので、左側の「通電表示」を示す小窓のランプは消灯しています。
表示窓で状態が一目で分かるようになってるよ!
このままでは使用できないため、リセット(入)ボタンを押します。
すると、左側の通電表示ランプが点灯します。この状態になると、ビリビリガードのコンセントに通電がされて使えるようになります。
ビリビリガードに扇風機の2Pプラグを接続してみました。
この状態のビリビリガードは、接地極を引っ込めて2Pの状態で接続していますので、3Pのプラグやアース線をビリビリガードに接続しても機器の接地がされません。感電対策にはなりませんので注意してください。
この状態で扇風機が漏電したと仮定してテスト(切)ボタンを押します。
すると、ビリビリガードが作動して通電を遮断し通電表示ランプが消灯します。
復旧する場合は、漏電している原因を取り除いた後でリセット(入)ボタンを押すと再び使えるようになります。
今回はテスト(切)ボタンでビリビリガードを動作させましたが、使用中にビリビリガードが機器側の漏電、GB-XCシリーズであれば過負荷、短絡を検知すると通電が遮断されてこれらの危険状態から保護してくれます。
テスト(切)ボタンを押して動作確認をしてから使用するようにしましょう。
ビリビリガードの注意点
ビリビリガードの使用にはいくつかの注意点があります。
接地極を引っ込めて2Pコンセントで使用するのは極力避ける
2Pコンセントに接続するために接地極を引っ込めてしまうと、ビリビリガードを介して機器の接地をすることが出来ません。
つまり、機器から漏れた電気がアース線の方へ流れていく状態が作れなくなります。
接地極を引っ込めれば2Pコンセントに接続することはできますが、誤って接地極付きの3Pプラグやアース線をビリビリガードに取り付けると、接地が出来ていない状態で電動工具を使用してしまうことになります。
2Pコンセントでビリビリガードを使用する場合は、GR-XBシリーズの方がヒューマンエラーを起こしにくいでしょう。
GT-XCシリーズとGB-XCシリーズは3Pにも2Pにも対応できる分、接続する機器には十分注意しよう!
ビリビリガードはアース線の代わりにはならない
ビリビリガードがアース線の代わりになるのでは?と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ビリビリガードはアース線の代わりにはなりません。
アース線は、機器から漏れた電気を人体よりも抵抗値の低い地面の方へ流すことを目的として設置するもので、人が触れても感電しにくい状態をつくることができます。
一方、ビリビリガードの地絡保護機能で漏電を検知したとしても、通電を遮断するまでの間に漏れた電気が人体に流れてしまうことになるので、アース線で接地している状態と比べて感電リスクが高くなります。
したがって、いくらビリビリガードが地絡保護機能を備えていたとしても、アース線の役割を果たすことまではできないということになりますので、注意してください。
地絡保護と感電対策は分けて考えるようにしましょう!
まとめ
以上、使用者の漏電リスクと感電リスクを軽減するアイテム、ビリビリガードについてお伝えしました。
ビリビリガードはコンセントに接続するだけで様々な保護機能によって現場の電気的な事故を対策できるのが最大のメリットです。
いくつかの注意点はありますが、それらをしっかり押さえたうえで、是非ビリビリガードを活用して安全な現場づくりを目指してください。
この記事が皆さんの安全な職場づくりの一助になれば幸いです。