【接触不良に効果ある?】接点復活剤の仕組みや使い方、注意点について解説

電子機器のスイッチが反応しなかったり、ケーブルのコネクタを接続したときに接触不良が起きている・・・。
そんなときに役に立つのが「接点復活剤」です。
電気接点の汚れや酸化皮膜による接触不良を改善してくれる便利な製品ですが、
これって、本当に効果あるの?
電気製品に使い過ぎると逆に故障しないの?
といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな接点復活剤の仕組みや効果、注意点等を分かりやすく解説していきますので、是非参考にしてみてください。
接点復活剤って、たまに使うことがあるけど便利だよね
接触不良に効果がある製品ですが、注意点もありますのでしっかりと押さえておきましょう
接触不良って何で起きるの?
スイッチの接点やケーブルのコネクタなどに電気が流れるためには、金属部分同士がしっかりと”接触“している必要があります。
ところが、この接触している部分に錆や汚れなどがあると、電気がうまく流れなくなってしまいます。
この状態を「接触不良」と言い、機器の故障や不具合が発生する原因になることがあります。
電気の流れを邪魔する”何か”があると接触不良が起きてしまうんだね
接点復活剤の効果って?その仕組みについて
接点復活剤は次のような仕組みで接触不良を改善します。
接点復活剤を使用していない接点表面
引用先:日本コネクト工業株式会社(接点復活剤の有効性と仕組み)
接点復活剤を使用していない接点の表面を拡大すると、図のような状態になっています。
接点表面をミクロの状態で見ると微小な凹凸が有り、この凹凸同士が接触して電気が流れます。
しかもこの凹凸の高さは場所によってまちまちなので、凸同士が接近しても少しの隙間によって接触していない状態になることもあります。
よって、せっかく凸同士で接触していたとしても、この隙間に錆や皮膜などの汚れがあるとそれが邪魔をして、接触を阻害する原因になってしまいます。
面で接触しているように見えても、拡大すると点で接触しているわけですね
接点復活剤を使用した接点表面
引用先:日本コネクト工業株式会社(接点復活剤の有効性と仕組み)
一方、この接点に接点復活剤を使用して拡大したのが上の図です。
接点の凹凸に接点復活剤をかけると、まずは接点表面の汚れが除去され、金属同士が電気を流しやすい状態になります。
次に、復活剤に含まれる成分が接点の凹凸に入り込み、図のような薄い油膜を形成します。
この油膜は電気を流す働きを持っていて、接点復活剤をかける前は隙間が空いていた部分からでも油膜を通して電気が流れるようになります。
また、点でしか接触していなかった凸部についても、この油膜によってより広い面積で接触するようになって、安定した電流が流れるようになります。
このように、油膜によって電気の流れを安定させるのが接点復活剤の仕組みです。
接点復活剤はミクロレベルで仕事をしているんだね
接点復活剤の効果
接点復活剤には次のような効果が期待できます。
汚れや酸化膜を除去する
金属の接点は、時間がたつと酸化皮膜やホコリ・油分が付着します。
これが電気の通りを邪魔して、スイッチやコネクタが反応しにくくなります。
接点復活剤には、こうした汚れを除去する成分が含まれていて、薬剤を塗布することで金属の表面をきれいにし、電気が通りやすくなる効果があります。
導電性の油膜を作る
接点復活剤には極薄の導電性(電気を通す性質のある)成分が含まれています。
この成分が接点の凹凸に入り込み、電気の通り道を補うように薄い膜を形成します。
サビや再酸化を防ぐ
接点復活剤の油膜は、空気や湿気を遮断するバリアの役割も持っています。
つまり、金属が再び酸化(サビ)するのを防ぎ、長期間にわたって良好な接触状態を維持できるというわけですね。
動作の安定化・寿命延長
接点の状態を長期間健全な状態に保たれることで、機器全体の動作が安定して寿命が延びやすくなるというメリットがあります。
また、接点復活剤が塗布された接点は表面に油膜ができることから、金属同士の摩耗を防いでくれる効果もあります。
これらの効果が接触不良の解消に一役かってくれています
接点復活剤の使い方
接点復活剤の使い方はとても簡単で、電気の通りを良くしたい接点部分に付けるだけです。
接点復活剤には液状の”塗る”タイプと、吹き付ける”スプレー”タイプがありますが、一般的にはスプレータイプの方が使いやすく、細かい部分にも届きやすいのでおすすめです。
使い方について、順を追ってみていきましょう。
1.電源を切る・電池をぬく
まずは、接点復活剤を使用する機器の電源を切るか、電池を抜いておきます。
接点復活剤は電気を通す成分が入っていますので、電源が入ったままの状態で使ってしまうと、感電やショートの原因になります。
必ず電源を先に切ってから作業するようにしましょう。
機器を逆に壊してしまう原因にもなります
2.接点部分を軽く掃除する
次に、接点復活剤をかける前に軽く接点を掃除します。
接点復活剤は接点表面の汚れを除去する効果もありますが、目に見えるホコリなどのゴミが付着していると、薬剤が金属表面に届かず、接点復活の効果が半減します。
柔らかい綿棒で軽く拭き取るか、エアーダスター等を使ってホコリを飛ばす等して接点部分を綺麗にしてください。
繊維くず等を残さないように注意しよう
3.接点部分に吹き付ける
接触を良くしたい接点部分に薬剤を直接スプレーします。
スプレーする際は、目的の接点部分以外にかからないようスプレーノズルを付けて、薬剤が垂れないよう少なめにかけるようにしましょう。
少量でも十分な効果が得られます
もし、別の場所に薬剤がかかったら、ウエスなどで綺麗に拭き取ってください。
接点部分が小さく、どうしても接点復活剤をピンポイントで吹き付けるのが難しい場合は、無理に吹き付けようとせず綿棒等に薬剤を染みこませて塗布する方法がおすすめです。
ある程度時間をおいて薬剤が乾いてきたら終了です。
接点復活剤を使ううえでの注意点
接点復活剤を使用する際の注意点についてお伝えします。
通電中にスプレーは絶対しないこと
電気が流れている状態で接点復活剤を使用することは大変危険な行為です。
回路がショートして故障や発火する可能性がありますし、薬剤を伝わって電気が流れて感電する恐れもあります。
必ず電源を切ってから作業するようにしてください。
大事なことなので、2回言いますね
吹き付け過ぎないこと
「沢山かけた方が効きそうだから」と大量にスプレーすることはNGです。
あまり沢山スプレーすると、薬剤が内部などの隙間に入り込んで、かえって不具合の原因になることがあります。
また、薬剤には油分を含んでいますので、ゴミやホコリが付きやすくなったり、ベタつきや液だまりができることも考えられます。
少量でも十分な効果がありますので、接点に吹き付けるときは軽く1〜2回吹き付ける程度にし、余計な薬剤が付着した場合は軽く拭き取って感想させてから使用しましょう。
「薬も過ぎれば毒となる」だね
プラスチックやゴムを痛める場合がある
接点復活剤にはプラスチックやゴムを溶かしてしまう溶剤を含んでいるものがあるため、接点部分の近くにプラスチックやゴムがあると、劣化や変形させてしまう恐れがあります。
特に、スイッチの樹脂カバーやゴムパッキン、コネクタ周辺などは注意が必要です。
使用する前に必ず成分や注意書きを確認し、影響がありそうなものについては金属部分以外には使わないようにしてください。
接点復活剤の中には、プラスチックやゴムに付着しても問題がない製品がありますので、幅広い用途で使いたい場合は、そのような製品を選ぶと良いでしょう。
購入する前に、注意書きをよく読むようにしましょう!
まとめ
以上、接点復活剤についての仕組みや使い方、注意点についてお伝えしました。
接点復活剤は、接触不良を改善し電気の通りを良くしてくれる便利なメンテナンスアイテムです。
特に、電気関係の仕事をしている方にとっては、1本持っておくとトラブル等の解消にも非常に役に立ちます。
僕自身、接点復活剤には何度も助けてもらった経験があります。
正しく使えば非常に頼れる現場の味方になりますので、「もしかして接触不良かも」という場面に備えて、是非常備しておきましょう。