施工技術

【ネジの溝(穴)が潰れても(なめても)大丈夫】外し方7選をご紹介します。

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現場仕事を行っているときに有りがちなトラブルの1つが「ネジの溝が潰れる」というトラブル。ネジの溝が潰れることを「なめる」と言う言い方もありますね。

ネジの溝が潰れるとドライバーで回してもネジが滑ってしまう為、緩めることが困難な状態になってしまいます。

この記事では、そんな状況に対処すべく使う道具とその外し方についてご紹介します。

なべ
なべ

ネジの溝が潰れてしまっても大丈夫!色々な外し方があるので状況に応じて試してみて下さい。

ここでご紹介する道具はいざという時に頼りになりますよ。

ネジ溝が潰れる原因

ネジ溝が潰れる原因は実に様々です。

ドライバーを斜めに当てて回してしまう

素人の方に多いのがこの要因ではないでしょうか。

ドライバーを斜めに当てて回してしまうと、ドライバーの先端とネジ溝との接触面が少なくなり、過大な力が加わってネジ溝が削れてしまうというものです。

ドライバーとネジ溝のサイズが合っていない

ネジの太さに比例してネジの頭も大きくなったり小さくなったりしますが、サイズに合ったドライバーを使用しないで回そうとすると、やはりネジ溝とドライバーとの接触面が小さくなり、ネジ溝を潰してしまいます。

ドライバー先端の摩耗

ドライバーを長年使用すると、先端が段々摩耗し角が丸くなってきます。このようなドライバーを使用すると、ネジ溝との掛かりが悪くなるのでネジ溝を潰しやすくなります。

同じネジを何度も使用する

設備のカバーを止めているビスなど、点検のたびに緩めて締めてを繰り返しているようなものもネジ溝が潰れていることが多いです。同じビスを何度も使用することでネジ溝が段々摩耗してくる為です。

ネジ自体の劣化

雨風等の影響によりネジの頭が腐食したりしていると、どんなに気を使ってもネジ溝が潰れてしまうことがあります。ドライバーで回したときの力にネジ溝が耐えられなくなってしまっているためですね。

ネジ溝が潰れた時の外し方

ネジ溝を潰してしまったネジの外し方について段階的に解説していきます。

ドライバーを垂直に押し当てる

普段からネジを緩めたり締めたりする時にも、意識して頂きたいのがこの方法です。

ドライバーをネジに対して垂直に力を入れて押しながらゆっくり回すことで、ネジ溝が多少残っているネジであれば緩められる場合があります。

ネジを緩めたり締めたりする時にも、このことを意識するとネジ溝を痛めにくくなります。

まずはこの方法でネジを緩めることができるか試してみて下さい。

新しいドライバーを使用する

ドライバーを長年使い込むと先端が丸くなって引っ掛かりが悪くなります。新品のドライバーは角が立っているので、古いドライバーでは歯が立たなかったネジを緩められることがあります。古いドライバーは新しいネジ溝でも痛めてしまうことがありますので、定期的にドライバーは交換するようにしましょう。

ゴムをネジ溝に押し当てる

昔から伝わる方法として有名なのがこのゴムを使う方法。

やり方としては、ネジの頭に太めの平べったいゴムを当てて、その上からドライバーを押し当てて回すという方法です。ネジとドライバーの間にゴムが入ることでグリップ力が増し、ドライバーが滑らなくなるというのがこの方法の原理です。

コツは細い輪ゴムではなく太めの平ゴムを使うという点ですね。

とても簡単な方法なので、普通のドライバーだけでは滑ってしまうという時にはこれを試してみましょう。

貫通ドライバーを使用する

貫通ドライバーはドライバーの柄のお尻の部分が金属製になっていて、ハンマーで叩けるようになっています。このお尻の金属の部分がドライバー先端まで1本の軸で繋がっている構造なので「貫通」ドライバーと言います。

引用先:VESSEL(メガドラ 貫通ドライバー )

この貫通ドライバーをネジに対して垂直に当て、お尻の部分をハンマーで叩くことで溝を作ってネジを緩めるという方法です。また、ネジに振動を与えることで固着したネジが緩みやすくなるという効果もあります。

打撃ドライバーを使用する

打撃(インパクト)ドライバーは、ハンマーで叩いた衝撃を回転力に変える機構をもったドライバーです。

引用先:ASTRO PRODUCTS(APインパクトドライバー)

ネジに押し当てた打撃ドライバーをハンマーで叩くと、ドライバーの先端が「クルッ」と回転します。無くなったネジ溝を打撃で作りつつ、強力なトルクで緩めるという合わせ技ですね。

このドライバーは頭が潰れてしまったネジ以外に、固くて緩まないというネジに対しても最適な工具なので、1つ持っておくと大変便利ですよ。

ネジザウルスで掴んで回す

ネジ溝が完全に潰れてしまって「もうお手上げ!」

そんな時に役に立つのが、ここ最近で急速に普及した「ネジザウルス」という商品。

僕が初めて知ったのは10年以上前ですが、最近では色んな種類がラインナップされています。

引用先:株式会社エンジニア(ネジザウルスXP)

ネジザウルスは一見すると普通のペンチのように見えますが、最大の特徴はこの先端形状。

引用先:株式会社エンジニア(ネジザウルスXP)

この鋭い縦のギザギザと横のギザギザでネジの頭をガッチリと掴むことができます。まさに恐竜ですね。

普通のペンチやプライヤーでもネジの頭を掴むことは出来ますが、この「ネジザウルス」はネジの頭を掴むことに特化した形状をしています。

ネジの頭さえ掴むことが出来れば、この「ネジザウルス」でほぼ全てのネジを外すことができるのではないでしょうか。とても便利な工具なので持っておいて損はないでしょう。

ちなみに、ネジザウルスを販売しているのは「株式会社エンジニア」です。本当に色々な種類があるので、HPを覗いてみると楽しいですよ。

※リンクはこちら→「株式会社エンジニア」

逆タップを使う

皿ネジなどのネジの頭が出ていないビスのねじ溝が潰れてしまった場合、「ネジザウルス」のようなペンチ状のものでは取り外すのが困難です。

そこで最後の手段として登場するのが「逆タップ」と呼ばれる道具です。

逆タップは先端がテーパーになっていて、左方向に回転させると穴に食い込むよう螺旋形状になっています。

引用先:MonotaRO.com(折れ込みボルト抜き)

これとは別に鉄板に開けた穴をネジ穴に加工するために使う工具「タップ」というものがあります。仕事ではこちらの方が皆さんよく使われるのではないでしょうか。

引用先:MonotaRO.com(スパイラルタップ)

この「タップ」と「逆タップ」は、先端の螺旋形状が「右巻き」か「左巻き」で異なります。

「タップ」は穴に差し込んで右回り(ネジを締める方向)に回していくと、ネジ山を切りながら中に入っていき、左回り(ネジを緩める方向)に回すと出てきます。

ネジを外すために使う「逆タップ」はこの「タップ」とは逆で、左回り(ネジを緩める方向)に回していくと食い込んでいき、右回り(ネジを締める方向)に回すと抜けるようになっています。

この構造を利用してネジを外すことが出来る工具が「逆タップ」です。

逆タップでネジを外す手順は次の通りですので、参考にしてみてください。

引用先:MonotaRO.com(エキストラクターの種類と使い方)
  1. ネジ溝の潰れたネジに逆タップをハンマーで叩きこむ。
  2. タップハンドルを使用してネジを左回転(緩める方向)に回す。

尚、この逆タップは六角穴付ボルト(キャップスクリュー)には穴を開けずに使うことができます。

元々キャップスクリューには六角穴が開いているので、その穴に逆タップを差し込んで回すといった具合です。キャップスクリューはSCM素材で非常に硬いので、穴を開けなくても使えるのは嬉しいところ。ただし、穴が腐食等で広がってしまっていれば、逆タップが噛み込まない可能性もあるので、その場合は別の方法を考える必要があります。

ちなみに、「ネジザウルス」のメーカーである株式会社エンジニアより、逆タップと同じ原理の工具である「ネジザウルスバズーカ」という商品が販売されています。

「ネジザウルスバズーカ」は専用ハンドルと数種のビットがセットになっているものが売られているので、1つ持っておくととても便利ですね。

電動ドライバーに取り付けられる「ネジザウルスモグラ」というシリーズもあります。

逆タップを使用する上での注意点として、ネジの頭に逆タップを食い込ませるための下穴を電動ドリルで開けるとき、ネジがある程度太い場合はよいですが、ネジが細くなると下穴を開ける難易度が上がるという点です。

また、ネジを取り付ける為のネジ穴をドリルで痛めてしまうリスクもあります。

逆タップを使う場合は慎重に作業を行うようにしましょう。

浸透潤滑剤も忘れずに

なめてしまったネジを外すのに焦ったりイライラしたりしていると、ついつい浸透潤滑剤の存在を忘れてしまうことがあります。

なめてしまうようなネジは錆付いたりしている場合も多いので、まずは浸透潤滑剤をスプレーして外しやすい状態を作ってから作業するようにしましょう。

浸透潤滑剤で最もポピュラーなのは呉工業の「CRE556」ですが、職人の間で浸透力に定評があるのは和光ケミカルの「ラスペネ」です。一度試してみてください。

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ネジの外し方は様々

以上、ネジ溝が潰れてしまった時の対処方法についてお伝えしました。

ネジを取り外す方法は簡単な方法から難しい方法まで実に様々ありますが、最近では便利な道具が沢山発売されていますので、より楽に取り外すことができるようになってきましたね。困ったときはここでご紹介した道具と方法を駆使して対処して頂ければと思います。

作業の効率を上げるのはやはり「道具」です。

ABOUT ME
なべ
なべ
エンジニア
設備保全一筋20年の保全マン。
専門は電気であるが、機械関係の仕事にも携わっている。
現在は営業・設計・製作・工事までを1人でこなすハードな毎日を送っている。
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