盤内機器関係

【インバータでモーターを制御】仕組みや使い方をわかりやすく解説

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クレーンや工場設備などの装置を動かす為に必要不可欠なモーター。

モーターは電気を供給することで動かすことができますが、直接電源にモーターを繋いだだけでは速度をコントロールすることが出来ません。

モーターの速度制御は様々な方式や機器を使って行いますが、現在最もよく使われているであろう制御機器が「インバータ」です。

この記事ではインバータの仕組みや使い方について出来るだけ分かりやすく解説いたします。

なべ
なべ

現在社会において、インバータはモーターの速度制御に欠かせない大変重要な存在です。

インバータの概要

インバータとはモーターに与える電気の周波数を変えることで速度を制御する装置のことをいいます。

動かしたいモーターにインバータを接続して「高速」や「低速」といった命令を与えると、インバータは設定された速度になるようにモーターをコントロールしてくれます。

モーターの速度をコントロールすることで装置の動きを滑らかにしたり速く動かしたりが自在に出来るようになるわけですね。

ではなぜ周波数を変えることでモーターの速度を変えることが出来るのでしょうか?

インバータの仕組みを解説する前に、まずはこの点についておさらいをしておきましょう。

なぜ周波数で速度が変わるのか?

モーターの速度とはすなわちモーターの回転数です。モーターの回転数が多くなれば装置の動作速度は速くなりますし、回転数が少なくなれば装置の動作速度は遅くなります。

この回転数をどうすれば増減させられるのでしょうか。

モーターの回転数

回転数は「rpm」という単位で表され、「r」はrotation=回転、「p」はper=/、「m」はminute=分をそれぞれ意味しています。つまり、回転数とは1分あたりに何回転するのか?を表した数字のことを指します。

回転数を変えるには?

モーターの回転数は次の式で計算できます。

回転数Nは、供給される電源の周波数に120を掛けて、その数字をモーターの極数で割ることで求めることができます。

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ここで計算式を眺めてみると、回転数Nは「f:周波数」に比例し「P:極数」に反比例する関係であることが分かります。

つまり、「P:極数」が一定であれば「f:周波数」を増やせば回転数Nが多くなり、少なくすれば回転数Nは少なくなるということになります。

これが周波数を変えるとモーターの速度(回転数)が変わる理由です。

インバータの仕組み

周波数を変えることでモーターの速度を変えられることが分かりました。

では実際にインバータはどうやって周波数を変えているのでしょうか?

インバータの仕組みを詳しく見ていきましょう。

引用先:松定プレシジョン株式会社(インバータとはどんな技術?仕組みと使用用途を解説)

インバータの内部は上の図のような構造になっています。

左から「コンバータ回路」・「コンデンサ(平滑コンデンサ)」・「インバータ回路」の順で、合計3つの要素で構成されています。

これらの要素の原理を上手く利用してインバータは動作しています。

それぞれの役割についてみていきましょう。

コンバータ回路

インバータに入力された交流電源はまず「コンバータ回路」を通ります。コンバータ回路は別名整流回路とも呼ばれ、入力された交流電源を直流に変換する役割があります。

交流は通常、プラス・マイナスと大きさが切り替わりながら回路の中を行ったり来たりしています。

引用先:急湯デポ(代表松田の呟き)

この行ったり来たりする交流をどうやって直流に変換するかというと、ダイオードという素子を回路の中で組み合わせて行います。

ダイオードとは電流を一方向にしか流さないという特性をもっており、この特性を利用して交流の0〜プラスの成分だけを取りだして直流に荒変換します。

引用先:電験教室(【解説】半波整流回路と全波整流回路)

このような感じですね。まずはこれが第一段階です。

コンデンサ(平滑コンデンサ)

コンバータ回路部分で交流をある程度直流に変換することができました。今度はこの直流をさらにより直流らしいところまで追い込んでいきます。

目指すところはこの波形ですね。ボールが跳ねているような波形から少しでも真っ直ぐな波形に近づけます。その為に使うのが「コンデンサ(平滑コンデンサ)」です。

コンデンサは電気を蓄えたり放出したりができる電気素子で、このコンデンサの特性を利用してより直流らしい電気にならしていきます。

まず、コンデンサに電圧が加わるとコンデンサが充電されます。その後、まだ安定していない電気はコンデンサを充電したあとに電圧が下がろうとしていきます。すると、コンデンサに充電された電気が放出を始めるので、この放出された電気が下がった電圧の谷を穴埋めしてくれます。

引用先:株式会社マクニカ【交流(AC)電源と直流(DC)電源】

上の図がその様子をグラフで表したものになります。赤い波形がコンバータ回路から出てきた電気で、青い波形がコンデンサで平滑した波形になります。

どうでしょう、直流の真っ直ぐな波形に大分近づいたのではないでしょうか。

ここまできたら、あとは最後の「インバータ回路」で仕上げです。

インバータ回路

これまでのコンバータ回路とコンデンサで直流の電気を作ってきました。なぜわざわざ直流の電気を作ったかというと、「このスピードで動かしたい」を実現するために欲しい周波数帯域の交流を作るためです。それを行うのが「インバータ回路」です。

インバータ回路がどのように交流を作っているかというと、「スイッチング」という技術を使って行っています。

引用先:松定プレシジョン株式会社(インバータとはどんな技術?仕組みと使用用途を解説)

上の図で横二重線の部分が直流、「負荷」の部分が動かしたいモーターにあたります。

図では最初にスイッチ①とスイッチ④をONさせて、スイッチ②とスイッチ③をOFFのままにしています。こうすると負荷の左から右へ向かって電流が流れます。

次に、スイッチ②とスイッチ③をONさせて、スイッチ①とスイッチ④をOFFにします。すると、今度は負荷の右から左へ向かって電流が流れています。

どうでしょう、負荷に対する電流の向きが変わっているのが分かりますでしょうか。

このようにして交流を作り出しているのがインバータ回路です。

このスイッチングする速さを変えることで、欲しい周波数帯域の交流を得ることができます。

ちなみに、スイッチングは物理的な接点のあるスイッチで行っているわけではありません。スイッチング素子という半導体素子を使って行っています。

スイッチングはかなり高速に行う必要があるので、物理的な接点のあるスイッチでは間に合いませんし、すぐ壊れてしまいます。

インバータでは、無接点で高速にスイッチングができる半導体素子を使用することで、このような問題をクリアして安定的に交流を作り出しています。

インバータの使い方

インバータにはその機能をいかした様々な使い方があります。

装置の速度制御

最もオーソドックスな使い方が装置を動かしているモーターの速度制御です。

インバータでは欲しい周波数を細かく設定しておくことができるので、装置の動き始めをスムーズにしたり、止まる時にゆっくり止めたりと、実に様々なバリエーションを持たせることができます。

カクカクした動きをおさえることが出来るので、装置の機械的な負荷を減らしたり、搬送している荷物の荷崩れを防止することなどにも貢献しています。

ポンプの流量制御

モーターを使ったポンプの流量を制御するのにもインバータは有効的です。

ポンプの回転数が増えると流体の流量が増えますし、回転数が減ると流量は減少します。

なので、インバータでモーターに供給する電源の周波数を変えることで、流体の流量を自由に変化させることができます。

エアコンの制御

インバータエアコンという言葉にもあるように、エアコンにもインバータの技術が使われています。エアコンの場合は圧縮機(コンプレッサー)のモーターにインバータを使用しています。

圧縮機はエアコンのガスに圧力を掛けて圧縮し、気体の温度を変える装置です。

以前は圧縮機のモーターをON・OFFのみで制御していたので、温度設定を一定に保つなどの安定的な運転ができませんでした。

この圧縮機にインバータを使用するようになったことで、掛ける圧力を調整できるようになり、安定した温度設定で運転できるようになりました。

極端な運転が無くなった分、省エネにも貢献しています。

極数を変える方法はどうなの?

【なぜ周波数で速度が変わるのか?】の項で「f:周波数」もしくは「P:極数」を変えることが出来ればモーターの回転数を変えられることをお伝えしました。

では極数を変える方法はどうなのでしょうか?

極数とはモーターの内部にある固定子の磁極(S極・N極)の数を表します。この固定子の数はモーターの仕様によって決まり、それに基づいてモーターが作られます。

引用先:工場の電気保全 強電と弱電と計装関係「極数の数え方」

この使う極を変えて速度制御を行えるのがポールチェンジ(極数変換)モーターと呼ばれるモーターです。

ポールチェンジモーターは低速時は8極運転で高速時は4極運転というように、速度に応じて極数を変えるという使い方をします。

ポールチェンジモーターは制御が簡単というメリットがある一方、低速・高速の2速しかないことや速度変更時のショックが大きい、同容量のモーターよりもサイズアップしてしまうなどのデメリットから、現在ではほとんど使われなくなってしまいました。

攪拌機などの用途ではまだ使われているものの、精度を求められる装置の速度制御には不向きなモーターです。

これらのことから、やはり周波数を変えることができるインバータの方に軍配が上がりますね。

まとめ

インバータが世に出た当初はあまり性能が高くなかった為、比較的負荷の軽い用途に限定されていました。

それが今では半導体素子の高速化や技術革新によって性能が飛躍的に向上し、現在では実に様々なシーンで使われるようになってきています。

ただ、インバータにもメリット・デメリットが存在し、注意点やポイントをしっかりおさえて使う必要があります。

それについては別の記事でまた解説させて頂きたいと思います。

皆さんの仕事の一助になれば幸いです。

ABOUT ME
なべ
なべ
エンジニア
設備保全一筋20年の保全マン。
専門は電気であるが、機械関係の仕事にも携わっている。
6年前から営業職兼務になり、営業から設計・製作・工事・回収までを1人でこなすハードな毎日を送っている。
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