なべの考え方について詳しくはこちら

【インバータってどんな仕組みなの?】原理から使い方まで分かりやすく解説

  • URLをコピーしました!

クレーンや工場設備などの装置を動かす為に必要不可欠なモーター。

モーターは電気を供給することで動かすことができますが、直接電源にモーターを繋いだだけではスピードをコントロールすることが出来ません。

そこで、モーターのスピードを自在に操るために使われている制御機器が「インバータ」です。

この記事では、インバータの仕組みや使い方について出来るだけ分かりやすく解説いたします。

ひでくん

工場の設備や装置の速度制御にはだいたいインバータが使われているよね〜

なべ

現在社会においては、インバータはモーターの速度制御に欠かせない大変重要な存在です!

この記事ではこのようなギモンにお答えします
  • インバータってどんな機器なの?
  • どんな仕組みでモーターを動かしているの?
  • 実際にどのようなところで使われているの?
記事の目次

インバータってどんな機器なの?

インバータとは、モーターに送る電気の「周波数」を自在に変えて、モーターの回転速度を速くしたり遅くしたりできる装置のことをいいます。

動かしたいモーターにインバータを接続して、外部の制御装置から「高速で回れ!」や「ゆっくり減速しろ!」といった命令を与えると、インバータはその命令に応じてモーターをコントロールしてくれます。

モーターの速度をコントロールすることで、装置の動きを滑らかにしたり速く動かしたりが自在に出来るようになるわけですね。

ここで1つのギモンが生まれます。

新人まつもと

なんで電気の周波数を変えるとモーターの回転速度が変わるんですか?

インバータの仕組みを解説する前に、まずはこの点についておさらいをしておきましょう。

なんで周波数を変えると速度が変わるの?

周波数がモーターの回転速度にどのような影響を与えるのでしょうか?

モーターの速度とは、すなわちモーターの回転数のことです。

回転数とは?

モーターやエンジンなどが単位時間当たりに回転する回数のこと、一般的に「rpm」という単位で表される。

  • 「r」:rotation(回転)
  • 「p」:per(/)
  • 「m」:minute(分)

つまり、回転数とは「1分あたりに何回転するのか?」を表した数字のことを指します。

結論から言うと、電気の「周波数」と「モーターの回転数」は比例関係にあります。

電気の周波数を高くすると回転数が多くなり、周波数を低くすれば回転数が少なくなります。

言いかえると、回転数が多くなれば装置が動く速度は速くなりますし、回転数が少なくなれば装置が動く速度は遅くなるということですね。

モーターの回転数は、周波数等の数字を使って次の式で表されます。

回転数Nは、モーターに送られる電気の周波数に”120″を掛けたあと、モーターの極数で割ることで計算することができます。

極数とは?

モーターの内部にある”磁石(磁極)”の数のこと

ここで計算式を眺めてみると、回転数Nは「f:周波数」に比例し「P:極数」に反比例する関係であることが分かります。

なべ

分子に”f”、分母に”P”があるためですね

つまり、「P:極数」が一定であれば「f:周波数」を増やせば回転数Nが多くなり、少なくすれば回転数Nは少なくなるということになります。

これが周波数を変えるとモーターの速度(回転数)が変わる理由です。

ひでくん

インバータはこのモーターの特性を上手に利用して回転数を制御しているよ

インバータはどうやって周波数を変えてるの?

周波数を変えることでモーターの速度を変えられることが分かりました。

では実際にインバータはどうやってモーターに送る電気の周波数を変えているのでしょうか?

インバータの仕組みを詳しく見ていきましょう。

インバータ内部の構成

引用先:松定プレシジョン株式会社(インバータとはどんな技術?仕組みと使用用途を解説)

インバータの内部は上の図のような構成になっています。

左から「コンバータ回路」・「コンデンサ(平滑コンデンサ)」・「インバータ回路」の順で、合計3つの部門で構成されています。

インバータはこの3つの部門を上手に使って、「交流から一旦直流に変換し、再度交流に変換し直してモーターに出力」しています。

なぜわざわざ交流→直流→交流の変換が必要になるのでしょうか?

それぞれの部門の役割と合わせて順番に解説していきます。

コンバータ回路

インバータは交流の電源(R・S・T)とモーターに接続して使用します。

インバータに接続した交流電源からくる電気は、最初に「コンバータ回路」と呼ばれる部分を通ります。

そもそも交流の電気とは、波のようにプラス・マイナスの極性や電圧の大きさが周期的に切り替わりながら回路の中を行ったり来たりしています。

引用先:急湯デポ(代表松田の呟き)

コンバータ回路は別名「整流回路」とも呼ばれ、入力された交流の電気を一方向にだけ流れる直流の電気に変換する役割があります。

コンバータ回路では、交流の電気を直流の電気に変換するためにダイオードという素子を使います。

ダイオードとは電流を一方向にしか流さないという特性をもっており、この特性を利用して交流の0〜プラスの成分だけを取りだして直流に荒変換します。

引用先:電験教室(【解説】半波整流回路と全波整流回路)

上の図はコンバータ回路で交流を直流に変換している様子を表したものです。

ダイオードは△の先端方向にだけ電流を流し、反対方向には電流を流さないという特徴があります。

図を見てみると、入力のプラス・マイナスが入れ替わったとしても、出力側はプラス・マイナスが入れ替わっていないことが分かります。

このようにして、交流の電気から直流に近い部分だけを抜き出しているわけですね。

だだし、これだけではまだ不十分であるため、次の部門で更に直流に近い電気に修正していきます。

コンデンサ(平滑コンデンサ)

コンバータ回路部分で交流をある程度直流に変換することができたので、今度はこの電気をさらにより直流らしいところまで追い込んでいきます。

目指すところは、このプラスマイナスが変わらない真っ直ぐの波形ですね。

コンバータ回路できた電気はボールが跳ねているような波形なので、これを少しでも真っ直ぐな波形の電気に追い込んでいきます。

その役割を果たしてくれるのが、「コンデンサ(平滑コンデンサ)」です。

ひでくん

インバータで使われるコンデンサは、電気を凹凸なく滑らかにしてくれることから「平滑コンデンサ」とも呼ばれているよ

コンデンサは電気を蓄えたり放出したりができる電気素子で、このコンデンサの特性を利用してより直流らしい電気にならしていきます。

コンデンサがどのような働きをするのかは次の通りです。

まず、コンバータ回路から送られてくる電気をコンデンサに加えていきます。

すると、電気が充電されてコンデンサ内に電気が溜まった状態になります。

しかし、コンバータ回路が送られてくる電気はまだ安定していないため、コンデンサを充電したあとに電圧が下がろうとしていきます。

すると、コンデンサに充電された電気が放出を始め、この放出された電気が下がった電圧の谷を穴埋めしてくれます。

引用先:株式会社マクニカ【交流(AC)電源と直流(DC)電源】

上の図がその様子をグラフで表したものになります。

赤い波形がコンバータ回路から出てきた電気で、青い波形がコンデンサを通したあとの波形になります。

どうでしょう、直流の真っ直ぐな波形に大分近づいたのではないでしょうか。

ここまで直流の電気に近づけることができたら、あとは最後の「インバータ回路」で仕上げです。

インバータ回路

これまでのコンバータ回路とコンデンサで直流の電気を作ってきました。

なぜわざわざ交流の電気から直流の電気を作ったかというと、「この回転数で動かしたい」を実現するために必要な周波数帯域の交流を作るためです。

それを行うのが「インバータ回路」部門です。

インバータ回路がどのように交流を作っているかというと、「スイッチング」という技術を使って行っています。

引用先:松定プレシジョン株式会社(インバータとはどんな技術?仕組みと使用用途を解説)

上の図は、インバータ回路にモーターを接続した状態をシンプルに表現したものです。

回路の1番左にある「横二重線」の部分がインバータ内部で作った直流の電気、「負荷」の部分が接続されたモーターにあたります。

左の図では、最初に【スイッチ①】と【スイッチ④】をONさせて、【スイッチ②】と【スイッチ③】をOFFのままにしています。

こうすると負荷(モーター)の左から右へ向かって電流が流れます。

次に、【スイッチ②】と【スイッチ③】をONさせて、【スイッチ①】と【スイッチ④】をOFFにします。

すると、今度は負荷(モーター)の右から左へ向かって電流が流れていきます。

どうでしょう、負荷(モーター)に対して流れる電流の向きが変わっているのが分かりますでしょうか。

交流の電気は周期的にプラス・マイナスが入れ替わる特徴を持っていましたね。

インバータ回路は、このようにスイッチを高速で入り切りすることでモーターに送る電気の向きを周期的に入れ替えて交流を作り出しているんです。

なべ

このスイッチをON/OFFすることを「スイッチング」といいます

交流の「周波数」とは、プラス・マイナスが1秒間に入れ替わる回数のことでした。

そのため、スイッチを入り切りする速さを変えれば、モーターに送る電気の周波数を自由自在に変えることが可能となります。

つまり、インバータによるモーターの速度制御とは、「内部で作り出した直流の電気を高速でスイッチングすることで周波数をコントロールすること」なんです。

ひでくん

この高速スイッチングがインバータの”ミソ”だね!

ちなみに、インバータのスイッチングは物理的な接点のあるスイッチで行っているわけではありません。

スイッチング素子という半導体素子を使って行っています。

スイッチングはもの凄い速さで行う必要があるので、物理的な接点のあるスイッチでは難しく、すぐ壊れてしまいます。

インバータでは、無接点で高速にスイッチングができる半導体素子を使用することで、このような問題をクリアして安定的に交流を作り出しています。

なべ

この高速スイッチングがインバータから出てくるノイズの原因になっていますので、ノイズ対策も必要不可欠です

実際のインバータの使い方

インバータにはその機能をいかした様々な使い方があります。

装置の速度制御

インバータの最も一般的な使い方が、装置を動かしているモーターの速度制御です。

インバータには動かしたいモーターの速度に合わせて周波数を細かく設定しておくことができます。

そのため、装置の動き始めをスムーズにしたり、長い距離を速く動かしたり、止まる前に速度をゆっくりにしたりと、実に様々なバリエーションで装置を動かすことが可能になります。

カクカクした動きをおさえることが出来るので、装置の機械的な負荷を減らしたり、搬送している荷物の荷崩れを防止することなどにも貢献しています。

ひでくん

インバータは接続の仕方次第で、自動・手動どちらの機器でも使うことができるよ!

ポンプの流量制御

モーターを使ったポンプの流量を制御するのにもインバータは有効的です。

工場等で使われるポンプはモーターを動力としていることが一般的で、その回転を利用して水などの流体を送ったり吸い込んだりしています。

このポンプモーターにインバータを接続し、モーターの回転数を速くすれば流体の流量は増加し、回転数を遅くすると流量は減少します。

つまり、インバータを使ってモーターに供給する電気の「周波数」を変えることで、流体の流量を自由にコントロールすることができるようになります。

なべ

ポンプの制御にもインバータはよく使われていますね

エアコンの制御

インバータエアコンという言葉にもあるように、家庭用のエアコンにもインバータの技術が使われています。

エアコンの場合は、圧縮機(コンプレッサ)のモーターにインバータを使用しています。

圧縮機はエアコンのガスに圧力を掛けて圧縮し、気体の温度を変える装置です。

昔のエアコンは圧縮機のモーターをON・OFFのみで制御していたため、室内の温度を一定に保つなどの運転ができませんでした。

現在ではこの圧縮機にインバータが使用され、モーターの回転数を自由自在にコントロールすることができるようになりました。

このため、設定温度に近づいたら圧力を微調整するという滑らかな運転が可能になり、常に快適な室温に保つことが当たり前になっています。

極端なON/OFF運転が無くなった分、省エネにも貢献しています。

ひでくん

インバータは僕たちの生活にもしっかりと貢献してくれているんだね!

極数を変える方法はどうなの?

【なんで周波数を変えると速度が変わるの?】の項で「f:周波数」もしくは「P:極数」を変えることが出来ればモーターの回転数を変えられることをお伝えしました。

では、周波数ではなく極数を変える方法はどうなのでしょうか?

極数とはモーターの内部にある固定子の磁極(S極・N極)の数を表します。この固定子の数はモーターの仕様によって決まり、それに基づいてモーターが作られます。

この使う極を変えて速度制御を行えるのがポールチェンジ(極数変換)モーターと呼ばれるモーターです。

ポールチェンジモーターは、低速運転のときは8極運転、高速運転のときは4極運転というように、必要に応じて使用する極数を変えて速度制御を行っています。

ポールチェンジモーターは制御が簡単というメリットがある一方、低速・高速の2速しかないことや、速度変更時のショックが大きい、同容量のモーターよりもサイズアップしてしまうなどのデメリットから、現在ではほとんど使われなくなってしまいました。

攪拌機などの用途ではまだ使われているものの、精度を求められる装置の速度制御には不向きなモーターです。

やはり、周波数を変えることができるインバータの方が、現在の速度制御には適していると言えますね。

なべ

昔の設備でたまに極数変換モーターを見ることはありますね

まとめ

以上、インバータの仕組みや使い方等について解説しました。

この記事のおさらい
  • インバータは電気の「周波数」を変えて、モーターの回転スピードを操る機器
  • 内部のスイッチング(交流→直流→交流)によって周波数を自由自在に変化させる
  • FA設備の速度制御や、ポンプの流量調整などによる「省エネ効果」も絶大

インバータが世に出た当初はあまり性能が高くなかった為、比較的負荷の軽い用途に限定されていました。

それが今では半導体素子の高速化や技術革新によって性能が飛躍的に向上し、現在では実に様々なシーンで使われるようになってきています。

是非インバータの仕組みを理解して、ご自分の職場で積極的に取り入れてみてください。

皆さんの仕事の一助になれば幸いです。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
記事の目次