工場等にある様々な産業機器に使われている光電センサ。
光電センサはワークなどの物体を検出するために欠かせないものであり、設備の自動化を実現するうえで非常に重要な役割を果たしています。
設備をトラブル無く安定的に稼働させるためには、光電センサを常に最適な状態に保つことが重要であり、日頃の点検が必要不可欠です。
しかし、光電センサの点検と一口に言っても、どのような手順で行えばいいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、光電センサの点検方法について基本的な手順や注意点等について解説していきますので、是非参考にしてみてください。
なべホコリの多い環境で動く設備や、稼働率の高い装置等は月1回の点検が望ましいですね

なぜ光電センサの点検が必要なの?

光電センサの点検はなぜ必要なのでしょうか?その理由についてまとめました。
センサが汚れていると誤動作しやすくなる
光電センサは本体のレンズ面から光を飛ばして、物体の有無を検出しています。
そのため、レンズ面に汚れが付着していると、光が遮断されたり光量が落ちるなどして誤動作する可能性があります。
また回帰反射形の場合は、光電センサ本体が汚れていなくても反射板が汚れていると誤動作することもあります。
ひでくんセンサーにクモの巣が張っていて、たまに誤動作するといった事象があったね
センサの光軸がズレ掛かっていると誤動作する可能性がある
光電センサには、機種によって異なりますが光軸が合う有効範囲があり、その範囲内であれば光軸が合った状態で正常に検出動作を行うことができます。
しかし、この範囲を超えてしまうと、「光軸がズレた」状態となり正常な検出動作ができなくなります。
とくに、ギリギリの状態で光軸が合っているセンサについては、振動等で一瞬外れてしまうことがあり、これによって誤動作が起きる可能性があります。
なべこの状態は主に透過形と回帰反射形に当てはまる内容ですね
センサの取付け部分が緩んでいると角度が変わってしまうことがある
センサの多くはブラケットを介して設備に取り付けられています。
取付け方法は実に様々ですが、ビスやナット等で固定されていることがほとんどです。
そのため、取付ビスやナットが緩んでいると、振動や衝撃によってセンサが動いてしまい、光軸の角度が変わってしまう可能性があります。
光軸の角度が変わると、合っていた光軸が外れてしまったり、物体に正しく向かっていた光軸の角度が変化し、正常な検出ができなくなるリスクが高まります。
ひでくんセンサ本体だけでなく、ブラケットの取付ビスが緩んでいることもあるよ!
センサの配線に異常があると誤動作する可能性がある
センサの配線についても、点検でしっかりと確認しなければなりません。
とくに、コネクタや端子台などの結線部分などは、接触不良が起きやすい箇所であるため注意が必要です。
また、装置と一緒に動いているセンサについては、振動などの影響を非常に受けやすく、部材との接触によるケーブル外装の損傷なども考慮して、点検することが肝要です。
なべケーブルがしっかりと固定されていないものは要注意です!
1つ1つ確実に!|光電センサの点検方法について
それでは、光電センサの点検方法について順を追って解説します。
手順①:設備の自動運転を停止する

まずは一番大事なことですが、設備の自動運転を必ず停止させてから、点検作業に取りかかるようにしましょう。
光電センサは自動運転のトリガ(引き金)になっていることも多く、設備が自動運転できてしまう状態のまま光電センサを触ってしまうと、設備が勝手に動作して挟まれてしまう危険性があります。
設備や機械が動く”きっかけ”となる信号や条件のこと、とくに自動設備ではセンサがトリガとしてよく使われる。
なべ実際、僕の職場でも自動運転ができる状態のまま点検作業を始めた作業者の方が、設備に挟まれて重篤な状態になってしまった事例があります。
ただし、光電センサもろとも設備の電源を切ってしまうと、後述する光電センサの光軸確認を行うことができなくなりますので、点検作業では設備が動かないよう駆動源の遮断や第三者による操作を防止するための安全処置を行う必要があります。
必ず自動運転の停止と作業の範囲を作業者全員で確認してから、点検を始めるようにしてください。
ひでくん自動設備はとくに注意しないといけないね!
手順②:センサのレンズ面を清掃する
光電センサはホコリなどがレンズ面に堆積すると誤動作する可能性がありますので、まずはレンズ面を乾いた綺麗なウエスで清掃します。

光電センサのレンズ面はほとんどがプラスチック製ですので、アルコールやパーツクリーナー・シンナー等の溶剤を付けて拭くと、レンズ面を痛める原因となってしまいます。
レンズ面にはホコリ以外にも設備から飛散した油が付着していたり、結露によって曇っている場合もあります。
尚、回帰反射形(ミラー反射形)の光電センサの場合は、反射板が曇っていたり汚れていたりしても誤動作する可能性がありますので、こちらについても同様に清掃しましょう。

- レンズ面を乾いたウエス、もしくは少し湿らせたウエスで拭き取る
- アルコールなどの溶剤は使用しない
- 回帰反射形の場合は反射板も合わせて清掃する
なべレンズが上向きになっている光電センサはホコリが溜まりやすいので特に注意しましょう!
光軸の状態を確認する

光電センサの清掃が終わったら、次は光軸の状態を確認します。
光電センサは、光を飛ばす投光器と光を受ける受光器とに分かれており、投光器から飛ばした光を受光器が正常に受け取っている状態のことを「光軸が合っている」と表現します。
つまり、投光器から飛ばした光の直線上に受光器が無いと正常に動作できないということですね。
光軸が合っているかどうかの確認は、光電センサの受光器に付いている表示灯の点灯状態を見て確認します。
例えば、オムロン製の光電センサ「E3Zシリーズ」の場合は、緑の安定表示灯と橙の動作表示灯が受光器に有り、この表示灯の点灯状態で光軸が合っているかを確認できます。
引用先:オムロン株式会社(FAQ05702)
緑の安定表示灯はセンサの受光器が正常に光を受け取っている時に点灯し、橙の動作表示灯は信号が出力されている時に点灯します。
つまり、センサをダークオンで使用している場合は「緑」点灯・「橙」消灯となり、ライトオンで使用している場合は「緑」点灯・「橙」点灯となっているのが正常となります。
もし、目的の用途以外の点灯・消灯の仕方をしていたり、何も検出していないのに表示灯が点滅しているなどしていたら、センサの光軸が合っていないと判断できます。
次にセンサの光を手でさえぎってみて、表示灯の「橙」のみが点灯もしくは消灯するかを確認します。確認できたら手をどけて、表示灯が元に戻ることを確認します。
これを繰り返して、表示灯が正常に切り替わっていたらOKです。
もし、正常に表示灯が切り替わらないようであれば、光軸が合うようにセンサ本体を動かして調整しましょう。
なお、この表示灯の状態はセンサや反射板の清掃だけで正常に戻る場合もあります。
表示灯の仕様は光電センサのメーカによって若干異なりますので、必ず使用しているセンサの取扱説明書を確認してください。
- 受光器の表示灯を見て光軸が合っているかを点検する。
- 光を手でさえぎって表示灯が正常に切り替わるか確認する。
センサ本体の劣化で光量が低下して光軸が合わなくなる場合もあるよ
取付ビスの緩みがないか確認する

光電センサはM3〜M4ぐらいのビスで固定されていますので、それらに緩みが無いかを確認します。
一つ一つドライバーを使って締め付け確認をしても良いのですが、センサの数が多いと時間が掛かりますので、その場合はセンサ本体を手で掴んで揺すってみて、動いている感触が無いかを確認する方法が有効的です。
もし取付ビスが緩んでいたら、センサ本体が「カクッカクッ」と動く感触が手に伝わってきます。
もちろんセンサ本体だけでなく、センサを取り付けているブラケット自体の取付ビス(ボルト)にも緩みが無いかを確認してください。
なお、センサを手で揺すったときに緩みがなくとも、受光器の表示灯が付いたり消えたりすることがあります。その場合はセンサの光軸がギリギリの状態なので、揺すっても表示灯が点滅したりしないよう調整しましょう。
- センサの本体を手で揺すって動いている感触がないか確かめる
- センサを揺すって表示灯の状態が変化する場合は調整を行う
センサの動作を確認する

センサの清掃・光軸確認・緩み確認を行ったら、最後にセンサの信号が正常に入力されているかを確認します。
センサの信号確認は光軸確認の時と同様、センサを手などで動作させて信号が正常に入力されているかを見ます。
光電センサはPLCに直接接続されている場合が多いので、点検作業はセンサの光をさえぎる人とPLCの表示灯を確認する人と二手に分かれて行うのが一般的です。
もしリレーなどの継電器でセンサからの信号を受けている場合は、実際にリレーが動作するか、リレーのLEDが点灯するかなどから判断しましょう。
なお、光電センサの信号が正常に入力されていても、コネクタの接触不良などから信号のチャタリング(ON/OFFを繰り返す)を起こしてることもあります。このような現象が疑わしい不具合が報告されている場合は、センサを動作させながらコネクタ等を軽く揺らすなどして、入力が途切れたりしないかを確認する方法が効果的です。
- センサの動作確認はPLCやリレーの表示を見て行う
- 2名以上で役割分担を決めて作業を行う
- 不具合が報告されている場合は、より入念に点検を行う
動作確認まで行うことができたら、光電センサの点検はカンペキです
定期的な点検が設備のトラブルを防ぐ

以上、光電センサの点検方法について基本的な手順や注意点等について解説しました。
光電センサは非接触で物体を検出できる反面、ホコリなどの汚れや光軸ズレ等で誤動作する可能性のある機器です。
しかし、定期的な点検・調整を確実に行っていけば、光電センサに起因する設備のトラブルを未然に防止することができます。
昨今の設備には光電センサが沢山使われているので、実際に点検される方は非常に大変かと思いますが、毎日の積み重ねが着実に実を結んでいきます。
設備の安定稼働に向けて頑張っていきましょう、お疲れ様です!


