空調服と水冷服の違いとは?|メリット・デメリットと選び方について解説

暑い季節の現場作業で気をつけたいのが「熱中症」。
作業中の暑さから身を守るためにも、体の体温を下げるためのグッズを上手く活用することが非常に重要です。
様々な熱中症対策グッズが有りますが、その中で代表的なものが「空調服」と「水冷服」です。
どちらも着用することで体の体温を下げてくれる便利なアイテムですが、仕組みや適した環境が異なるため、違いを知らないと選び方を間違えてしまう可能性があります。
この記事では、水冷服と空調服の違いやそれぞれのメリット・デメリットを比較しながら、どんな場面でどちらを選べばいいのかを分かりやすく解説していきます。
これからの季節に備えて、是非チェックしてみてください。
僕は空調服しか持ってないんだよね〜
現場に合わせて使い分けることができれば、更に快適になりますよ!
空調服とは?|仕組みや特徴について
空調服とは、服に取り付けられたファンによって服の中に風を取り込み、かいた汗を蒸発させて体温を下げるというアイテムです。
空調服の仕組み
空調服は主に小型ファン、接続ケーブル、バッテリーで構成されています。
小型ファンは脇腹や背中の辺りに取り付けられており、回転することで外の空気を服の中に取り込みます。
取り込まれた空気は、服の中を通って襟元や袖口を抜けるように流れていきます。このとき、体表にある汗を蒸発させて、体の熱も一緒に奪っていきます。
この蒸発と一緒に奪われる熱のことを「気化熱」といい、この作用によって効率的に体の体温を下げることができるわけです。
空調服の特徴
空調服の特徴は次の通りです。
特徴①:軽量で動きやすい
空調服は基本的にバッテリーやファン、接続用のケーブルだけの構成であるため、比較的軽く動きやすいのが特徴です。
そのため、長時間の作業や広範囲の作業においても疲れにくく、快適な状態を長時間キープすることができます。
特徴②:種類が非常に豊富
空調服はブルゾンタイプやベストタイプなど、様々なデザインが展開されていて、使用目的や作業環境に応じて選ぶことができます。
また、より風量のあるファンや大容量のバッテリーを選択できたりと、自分のニーズに合わせたカスタマイズがしやすい点も、大きな特徴の1つとなっています。
最近は女性の愛用者も増えてきています
特徴③:外気温や湿度の影響を受けやすい
空調服は外気を取り込んで服の中を循環させるため、外気温や湿度が高いと効果が下がる場合があります。
特に炎天下の中だと、生暖かい風が服の中に入ってくるため、涼しさを感じにくくなります。
真夏の屋外は厳しいよね〜💦
水冷服とは?|仕組みや特徴について
引用先:サンコー株式会社(ガツンと冷える「水冷クールベスト」)
「水冷服」とは、服の内部に冷水を循環させることで、体温を下げるウェアのことを言います。
水冷服は主に写真のようなベストタイプのものが一般的で、作業着等の下に着用して使用します。
水冷服の仕組み
水冷服の仕組みも至ってシンプルです。
タンクの中に入った冷水をポンプで送り出し、服の中に張り巡らされたチューブ内へ冷水を循環させます。
このチューブの中を通る冷水が体から熱を奪い取ることで、着用者の体を効率よく冷やすという仕組みになっています。
冷水を送り出すポンプはモバイルバッテリーで駆動するため、屋外や電源がない場所でも使用することが可能です。
また、タンクの水温を保つために、氷や凍ったベットボトルなどを一緒に入れて冷却効果を持続させる工夫も取り入れられています。
引用先:サンコー株式会社(ガツンと冷える「水冷クールベスト」)
氷水が体を循環するって、なんか涼しそうだね〜
水冷服の特徴
水冷服の特徴は次の通りです。
特徴①:外気温に左右されない
水冷服は氷などによって常に冷たい状態の水を体に循環させるため、外気温に左右されずに体を冷やすことができます。
一方で空調服の場合は、外気を取り込んで気化熱で体を冷やす仕組みであるため、外気温が高いと生ぬるい風になり、水冷服のような冷涼感を得ることが難しくなります。
ここは大きな違いです!
特徴②:直接冷やしてくれるため、涼しさを実感しやすい
水冷服は冷水が通るチューブに体の表面が直接触れるため、”ヒンヤリ”とした感覚をすぐに実感できるのが特徴です。
空調服のような「汗をかいて気化熱で冷やす」間接的な冷却とは異なり、冷たさを直ぐに感じることができます。
特徴③:バッテリー+水タンクによって、若干重さがある
水冷服はバッテリーや水のタンク、循環用のポンプなどを搭載しているため、空調服と比べると重量のあるパーツが増えます。
そのため、特に長時間の作業や動き回ることが多い現場などでは、空調服と比べて重さを感じてしまうことがあります。
空調服のメリット・デメリット
空調服のメリット・デメリットをまとめました。
空調服のメリット
空調服は軽量で動きやすいこと、ファンの風量を調整すれば長時間バッテリーがもつことなどから、数時間以上連続で作業をするようなシーンに適しています。
また、構造がシンプルで取り扱いも簡単であるため、電源を入れるだけで誰でもすぐに使うことができる手軽さも大きな魅力のひとつとなっています。
さらに、デザインや機能面でのバリエーションが豊富なことから、作業現場だけでなくレジャーやアウトドアシーンなど、様々な場面で使いやすいのもポイントです。
冷却効率だけを見れば水冷服に劣る面がありますが、幅広いシーンで使用できる柔軟性は、水冷服にはない空調服の魅了ではないでしょうか。
迷ったら、まずは空調服を検討してみよう!
空調服のデメリット
空調服の最大のデメリットは、外気をそのまま服の中に取り込んでいるという点です。
これによって、外の生暖かい風だけでなくホコリなどの小さなゴミを一緒に吸い込んでしまうため、あまり涼しさを感じられなかったり、風の通り道である襟元にホコリが溜まってしまうということが起こりがちになります。
特に、溶接など火の粉が発生するような作業においては注意が必要です。
ホコリはファンにフィルタを取り付けることで、ある程度侵入を防ぐことは可能です
水冷服のメリット・デメリット
水冷服のメリット・デメリットは次の通りです。
水冷服のメリット
水冷服は、タンク内の冷水を循環させて体を冷やす仕組みであるため、外気温が高くても安定した冷却効果を得ることができるメリットがあります。
また、冷たい水が体に直接触れるような感覚なので、着た瞬間から冷涼感を得ることも可能です。
さらに、服の中に着込んで使用することができるため、粉塵の多い場所や汚れやすい環境においては、空調服よりも水冷服の方が優位性が高いと言えるでしょう。
タイベックなどの防護服の下に着込めるのは良いよね〜
水冷服のデメリット
水冷服は水の入ったタンクやポンプなどの装置を使用しているため、全体的に重たくなりやすいことがデメリットです。
また、使用の際は氷や凍ったペットボトルなどが必要であるため、使用前の手間や準備の面でも負担が掛かります。
特に、炎天下など高温環境では使用時間が短くなる傾向にありますので、しっかりと準備をしておく必要があります。
重量と準備の手間が最大のデメリットですね
空調服と水冷服の選び方
空調服と水冷服の選び方について、いくつかのパターン別にまとめてみました。
作業環境で選ぶ
- ・風通しの良い屋外・屋内
-
A:空調服 効率的に外気を取り込めるため、冷却効果が高い
- ・高温・高湿度な場所(35℃以上)
-
A:水冷服 気化熱の効果が低い環境でも冷却効果が高い
- ・粉塵の多い環境や汚れやすい現場
-
A:水冷服 ホコリを吸い込むことがなく、タイベックなどの防護服の下に着ることもできる
- ・溶接やグラインダー作業の現場
-
A:水冷服 空調服だと火の粉を取り込んでしまう危険がある
- ・軽作業や短時間の作業
-
A:空調服 軽くて手軽に使えるほか、コストパフォーマンスも高い
作業時間で選ぶ
- ・2〜3時間の短時間作業
-
A:水冷服 or 空調服 短時間であればどちらも対応ができる
- ・6時間以上の連続作業
-
A:空調服 大容量バッテリーを使用したり、風量を調整することで長時間の使用が可能
装着感・動きやすさで選ぶ
- ・軽さや動きやすさを重視
-
A:空調服 軽量で動きやすさは抜群
- ・冷却効果を重視
-
A:水冷服 重量はあるが、体感温度は大きく下がる
準備の手間で選ぶ
- ・出来るだけ手軽に使いたい
-
A:空調服 バッテリーを充電しておくだけですぐに使うことができる
- ・手間よりも効果を優先したい
-
A:水冷服 冷却効果は高いが、氷の準備やバッテリーの充電などの手間が多い
メンテナンス性で選ぶ
- ・メンテナンス性重視
-
A:空調服 ファンとバッテリーを外せば丸洗いでき、メンテナンス性は非常に高い
- ・メンテナンス性よりも効果を優先したい
-
A:水冷服 タンクやポンプなど、部品点数が多いぶん点検などの定期メンテが不可欠
手軽さ優先なら空調服、冷却効果優先なら水冷服って感じかな
空調服・水冷服は使用環境で選ぼう
以上、空調服と水冷服について、違いやメリット・デメリット、選び方のポイントについて解説しました。
空調服と水冷服は使用環境に応じて選ぶことが最大のポイントです。
どちらにもメリット・デメリットがありますので、まずは作業内容や環境、使用時間などを整理して、どちらが適しているかを選ぶようにしてください。
うまく使い分けて、今年も暑い夏を乗り切りましょう!