現場仕事を行っているときに有りがちなトラブルの1つが「ネジの頭(溝)が潰れる」というトラブル。
ネジの頭が潰れることを「なめる」とも言いますね。
ネジの頭が潰れるとドライバーで回してもネジが滑ってしまう為、緩めることが困難な状態になってしまいます。
あまり現場での経験がない方にとって、このような状態になってしまうと、どのように対処していいのか分からず戸惑ってしまうことも多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな状況に対処すべく使用する道具と、頭が潰れてしまったネジの外し方について分かりやすく解説します。
ひでくん錆びたネジや何回も増し締めしたネジなんかは、溝が潰れてしまうことも多いよね



ネジの頭が潰れてしまっても色々な外し方や道具があるので、状況に応じてぜひ試してみてください!
ネジの頭が潰れる原因


ネジの頭が潰れる原因は実に様々です。
ドライバーを斜めに当てて回してしまう


初心者の方に多いのがこの要因ではないでしょうか。
ドライバーを斜めに当てて回してしまうと、ドライバーの先端とネジ溝との接触面が少なくなり、過大な力が加わってネジ溝が削れてしまいやすくなります。



狭いところにあるネジは斜めに当たってしまいがちだよね
ドライバーとネジ溝のサイズが合っていない


ネジの溝の大きさとドライバーの大きさが合っていないと、ネジの頭を潰してしまう原因になります。
ネジの溝に対してドライバーが大きすぎる場合であったり、逆に小さすぎる場合も同様です。
ネジの太さに比例してネジの頭も大きくなったり小さくなったりしますので、サイズに合ったドライバーを使用しないと、ネジ溝とドライバーとの接触面が小さくなって、ネジの溝を潰してしまいやすくなります。



ネジの大きさに合わせて大・中・小のドライバーを使い分ける必要があります
ドライバー先端の摩耗


ドライバーを長年使用すると、先端が段々摩耗し角が丸くなってきます。
このようなドライバーを使用していると、ネジ溝との掛かりが悪くなって潰してしまいやすくなります。



ドライバーは定期的に交換するようにしよう!
同じネジを何度も使用する


設備のカバーを止めているビスなど、点検のたびに緩めて締めてを繰り返しているようなネジについても、ネジの頭が潰れやすくなる原因になることがあります。
同じビスを何度も使用することでネジの溝が段々摩耗してきますし、繰り返しの作業でネジを痛めてしまう確率が高くなってしまうためですね。



繰り返し使用するネジについても、定期的に交換しましょう
ネジ自体の劣化


雨風等の影響によりネジの頭が腐食したりしていると、どんなに気を遣ってネジを取り扱っていても頭を潰してしまうことがあります。
ドライバーで回したときの力にネジ溝が耐えられなくなってしまっているためですね。
特に屋外にある設備のネジは腐食していることが結構ありますので、注意が必要です。



錆びたネジを緩める時はちょっと緊張するよね
頭が潰れたネジの外し方


頭が潰れてしまったネジの外し方について段階的に解説していきます。
ドライバーを垂直に押し当てて緩める
普段からネジを緩めたり締めたりする時にも、意識して頂きたいのがこの方法です。
ドライバーをネジに対して垂直に力を入れて押しながらゆっくり回すことで、ネジ溝が多少残っているネジであれば緩められる場合があります。





ネジに体重をしっかり掛けてドライバーを回すのがコツになります
ネジを締め付ける場合でも、このことを意識するとネジの頭を痛めにくくなります。
まずはこの方法でネジを緩めることができるか試してみて下さい。
新しいドライバーを使用する


なるべく新しいドライバーを使うのも、頭が潰れたネジを取り外しやすくするための方法として有効です。
ドライバーを長期間にわたって使い込んでいると、先端が丸くなってきますので引っ掛かりが悪くなります。
新品のドライバーは角が立っているので、古いドライバーでは歯が立たなかったネジを緩められることがあります。
古いドライバーは新しいネジ溝でも痛めてしまうことがありますので、なるべく新しいドライバーを使うようにしましょう。



ドライバーだけじゃなく、六角レンチ等もなるべく新しいものを使うようにしよう
ゴムをネジの溝に押し当てる


昔から伝わる方法として有名なのがこのゴムを使う方法です。
やり方としては、ネジの頭に太めの平べったいゴムを当てて、その上からドライバーを押し当てて回すというやり方になります。
溝とドライバーの間にゴムが入ることでグリップ力が増し、ドライバーが滑らなくなるというのがこの方法の原理ですね。
コツは細い輪ゴムではなく太めの平ゴムを使うという点です。
とても簡単な方法なので、普通のドライバーだけでは滑ってしまうという時にはこれを試してみましょう。



特別な道具を使わなくてもできる方法です
貫通ドライバーを使用する
貫通ドライバーとは、ドライバーの柄のお尻の部分が金属製になっていて、ハンマーで叩けるようになっている構造のものを言います。
引用先:VESSEL(メガドラ 貫通ドライバー )
お尻の金属の部分がドライバー先端まで1本の軸で繋がっている構造なので、”貫通”ドライバーと呼ぶわけですね。
引用先:ベッセル(【基礎知識】ドライバーの種類とサイズ、用途別ドライバーについて)
この貫通ドライバーをネジに対して垂直に当てて、お尻の部分をハンマーで叩くことで、ネジの頭に“引っ掛かり”を作ることができます。
この状態でネジを反時計方向に回すと、作った引っ掛かりにドライバーの先端が掛かって緩めることができるようになります。
また、ネジに振動を与えることで固着したネジが緩みやすくなるという効果もあります。



1本は欲しいドライバーだよね
打撃ドライバーを使用する
打撃(インパクト)ドライバーとは、ハンマーで叩いた衝撃を回転力に変える機構をもったドライバーです。
引用先:ASTRO PRODUCTS(APインパクトドライバー)
ネジに押し当てた打撃ドライバーをハンマーで叩くと、ドライバーの先端が「クルッ」と回転します。
無くなったネジの溝を打撃で作りつつ、強力なトルクで緩めるという合わせ技ですね。
このドライバーは頭が潰れてしまったネジ以外に、固くて緩まないというネジに対しても最適な工具なので、1つ持っておくと大変便利ですよ。



固いネジを緩める場合に使用すると、溝を痛めにくくなりますよ
ネジザウルスで掴んで回す



ネジの頭が完全に潰れてしまってもうお手上げです。。。
そんな時に役に立つのが「ネジザウルス」という商品です。
僕が初めて知ったのは10年以上前ですが、最近では色んな種類がラインナップされています。
引用先:株式会社エンジニア(ネジザウルスXP)
ネジザウルスは一見すると普通のペンチのように見えますが、最大の特徴はこの先端形状です。
引用先:株式会社エンジニア(ネジザウルスXP)
この鋭い縦のギザギザと横のギザギザでネジの頭をガッチリと掴むことができます。



“ザウルス”というだけあって、まさに恐竜みたいな形状だね
普通のペンチやプライヤーでもネジの頭を掴むことは出来ますが、この「ネジザウルス」はネジの頭を掴むことに特化した形状をしています。
そのため、ネジの頭さえ掴むことが出来れば、この「ネジザウルス」でほとんどのネジを外すことが可能となります。
とても便利な工具なので持っておいて損はないでしょう。
ちなみに、ネジザウルスを販売しているのは「株式会社エンジニア」です。本当に色々な種類があるので、HPを覗いてみると楽しいですよ。
ネジザウルス「ネジバズーカー」を使用する
ネジザウルスで頭を掴むことができないようなネジには、同じく株式会社エンジニアから発売されている「ネジバズーカー」を使うという手があります。
引用先:株式会社エンジニア(DBZ-22P ネジバズーカセット)
ネジザウルスのネジバズーカーは、頭が出ていないネジの溝が潰れてしまった場合でも、先端の特殊形状によって内側に食い込んでネジを回すことができるという製品です。
引用先:株式会社エンジニア(DBZ-22P ネジバズーカセット)
ネジの溝がある程度残っているような軽度の状態であれば、このような製品を使って取り外すことができる可能性があります。



株式会社エンジニアは本当に沢山の製品を出していますね〜
逆タップを使う
皿ネジなどのネジの頭が出ていないネジの溝が潰れてしまった場合、ネジザウルスのようなペンチ状のものでは取り外すことができません。
また、ネジの溝が完全に削れてしまうと、貫通ドライバーやネジバズーカを使用しても取り外すのは非常に困難になります。
そこで最後の手段として登場するのが「逆タップ」と呼ばれる道具です。



逆タップは別名「エキストラクター」とも呼ばれているね
逆タップは先端がテーパーになっていて、反時計回りに回転させることで、らせん状の刃が穴に入り込む構造になっています。
引用先:MonotaRO.com(折れ込みボルト抜き)
逆タップの使い方は、まず始めに頭が潰れてしまったネジにドリルで細い穴を明けます。
次に、明けた穴に逆タップを差し込んで反時計回りに回転させます。


逆タップは先端が逆方向のらせん形状になっているため、反時計回りに回転させると穴に入り込んで食い込もうとします。
そして、途中でネジにしっかりと引っ掛かり、そのまま力を掛け続けることでネジを緩めて取り外すことができます。



折れたボルトを外すときにも逆タップは役に立つよ
ちなみに、鉄板に明けた下穴をネジ穴に加工するために使う「タップ」という工具がありますが、これは先端のらせん形状が右巻きになっています。
一方で、逆タップは先端のらせん形状が左巻きという点が通常のタップとは大きく異なります。
この構造によって、逆タップを反時計方向に回転させると、
- ネジ本体はを反時計方向(緩まる方向)に回ろうとする。
- 逆タップ自体はネジに食い込む方向に回転する。
という2つの動作を同時に行うことができます。
これが、”逆”タップと呼ばれる所以であり、ネジを取り外せる仕組みになるわけですね。



逆タップの先端がテーパーになっているのも”ミソ”ですね
逆タップを使用する上での注意点として、ネジの頭に穴を明ける作業の難易度が上げられます。
逆タップをネジに食い込ませるためには、ネジの頭に下穴を電動ドリルで開ける必要がありますが、ネジがある程度太い場合は比較的作業がしやすい一方で、ネジが細くなるほど下穴を明ける作業が難しくなります。
また、ネジを取り付ける為のネジ穴をドリルで痛めてしまうリスクもあります。
逆タップを使う場合は慎重に作業を行うようにしましょう。
ネジザウルス 「ネジモグラ」を使う
ネジザウルスのシリーズに「ネジモグラ」という製品があります。
引用先:株式会社エンジニア(DWZ-06 ネジモグラ ソケット)
これは、逆タップと同じ仕組みでネジを外すことができる工具で、主に六角穴付きボルトがなめて取り外せなくなった時に使用します。


引用先:株式会社エンジニア(ネジモグラの裏技)



元々空いている六角穴を利用するわけだね
ただ、このネジモグラは六角穴付きボルトだけではなく、なめて潰れてしまったプラスネジなどを外す場合にも応用して使うことができます。
これは、メーカーである株式会社エンジニアからも公式で紹介されている方法で、逆タップのように深い穴を明ける必要がないというメリットがあります。
特に小さいネジを取り外すときにはとても便利な工具なので、是非試してみて下さい



これはドライバーの持ち手を差して使える点も良いよね



ネジモグラは沢山の種類がありますので、是非メーカーHPでもチェックしてください
浸透潤滑剤も忘れずに塗布しよう!


なめてしまったネジを外すのに焦ったりイライラしたりしていると、ついつい浸透潤滑剤の存在を忘れてしまうことがあります。
なめてしまうようなネジは錆付いたりしている場合も多いので、まずは浸透潤滑剤をスプレーして外しやすい状態を作ってから作業するようにしましょう。
浸透潤滑剤で最もポピュラーなのは呉工業の「CRE556」ですが、職人の間で浸透力に定評のある和光ケミカルの「ラスペネ」も有名ですね。


他にも、僕が使ってきた浸透潤滑剤でお世話になってきているのが、リックス株式会社から販売されている「フリクトル3」です。
少し高い製品ではありますが、かなり効果の高い浸透潤滑剤です。



フリクトル3は、機械部品交換時にとてもお世話になりました
ネジの外し方は様々


以上、ネジ溝が潰れてしまった時の対処方法についてお伝えしました。
ネジを取り外す方法は簡単な方法から難しい方法まで実に様々ありますが、最近では便利な道具が沢山発売されていますので、かなり楽に取り外すことができるようになってきましたね。
困ったときはここでご紹介した道具と方法を駆使して対処して頂ければと思います。
作業の効率を上げるのはやはり「道具」ですよ。




















